2007-07-15

とら☆うま

今朝、新聞を配達していたところ、閑静な新興住宅地の、とある家の前でバイクを倒してしまった。

溜息をつき、そこいら中に落ちた新聞を拾い、積み直していると、

突然どこからかドン!ドン!という音が聞こえてきた。

ふと顔を上げてみると、目の前の家の玄関ドア(真ん中に縦長の凹凸ガラスが嵌め込まれているタイプ)の、凹凸ガラスの部分にぼうっと人影があり、その人影がこちらを見ていた。

というか凝視している。ガラスに顔を思いっきり押しつけて、凝視している。

ガラスの凹凸と、家の中から当たる逆光のせいで表情は見えないものの、かなりの強い怒気を感じる。

女の人のようだ。20代後半から30代前半の雰囲気。勘だけど。

その人がこちらを見ながらドアをドンドン!と強く叩いている。

あっ…バイク倒した時の音がうるさかったかな…。

時刻は未明だし、確かに迷惑だったかもしれない。

申し訳ない気持ち、それから急に知らない人に激怒された事に対する恐怖と保身の気持ち(本当はこちらの

方が強い)で、とりあえずドアの向こうの人影に会釈した。

人影は、見えているのかいないのか、しばらく動かず黙ってこちらを見続け、それから奥に消えた。

とりあえずホッとはしたが、戦慄というか、軽い恐怖からくる興奮が身体の中にまだ残っていた。

何はともあれ配達を続けなければならない。

雨というだけでテンション下がっているところに、自分の不注意とはいえバイク倒して、

その上いきなり年上の女性に超怒られたことでモチベーションは急降下していた。

(余談だけど、もし人影が年下だったとしたらこんなに落ち込まない気がするのはなんでだろう。)

十代の頃だったら逆ギレして、内心悪態をついてるかもしれない。

二十歳を過ぎて丸くなったというよりも、ただ余計なエネルギーが無くなっただけじゃないだろうか。

そんなことを考えながら新聞を拾い集めていたら、

さっきのドアがゆっくり開いて、懐中電灯を持った男の人が出てきた。暗くてよく見えないが30代ぐらい

だろう。

お、怒られるんだろうか…。

どちらにせよここでちゃんと謝って許しを得たいと思った(それほどさっきの事が恐かった)ので、

「すみません、お騒がせしました。」

というと、男の人は雨の中散らばった新聞と倒れたバイクを見て小さな声で「あ、大丈夫ですか…?」とだけ言い、様子を伺いながら、家の中に入っていった。

そこでようやく分かった。

さっきのあれは怒られていたのではなく、威嚇されていたのだ。

どうやら自分は不審者だと思われていたらしい。

何か音がした→奥様が家の外を確認→怪しい人影→ドアを叩いて威嚇→去らない→旦那様起こす→旦那様がドアを開けて確認→なんだしんぶんやか→しんぶんやだったよ

そう考えるとあの鬼気迫る感じは納得がいく。

なーんだそっかぁー怒られたんじゃなかったのかぁーはぁー良かったー

…と思いたいのだけどここだけの話

やっぱり顔の見えない人型のシルエットが黙ってこちらを見つめたままドン!ドン!とドアを叩き続ける様子は視覚的に相当インパクトがあって、久々に軽いトラウマが植え付けられました、とさ。

顔を押しつけていたのは怒っていたからではなく多分、

家の中が明るくて、暗い外の様子がわからなかったんだろうなぁ。

あーヘルメットが濡れて臭くなりそうだ…。

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