2007-06-27

弟が突然高校を辞めたいと言い出した。

「なんのために勉強しているのかわからない」んだと。

途方にくれた親が、俺に電話してきて話をしてくれと頼んできた。

 

とにかく面食らったね。だって俺は「なんのために勉強するのか」なんて考えなかったもの。

勉強勉強のためにするものであって、少なくとも高校生までの勉強なんか、「世間を読むための最低限の知識」を仕入れるための物だと思っていたから。

例えて言うなら機械を作るためのネジだけ見て「これがいったいなんの役に立つ」と考えるようなものだ。

単体で役に立つわけが無い。パッと見はつまらないものに見えても仕方が無い。

息をすることに疑問を感じる奴は居るのか。

 

というのは後から考えた理屈で、そのときはすぐには出てこなかった。

ただ高校辞めたって何が出来るわけじゃないことは判ってたから、とにかく辞めさすまいと思った。

しかし頭ごなしに言ったって溝が深まるだけだろう。だから「辞めてもいいよ」と言った。

ただしやりたくないから辞めるというんじゃダメだ。やりたいことがあるなら辞めろ。

 

それだけしか言えなかった。

電話を切った後も自分の言ったことが正しかったのか判らなかった。

なんかもっと雄弁に語れたんじゃないかと、弟の言葉を何度も自分の中で反芻した。

 

それが数年前の話だ。

結局彼が高校を辞めることは無かった。俺の言葉のおかげだとは思わないけど自分なりに何か考えたのだろう。

もしかすると本当は辞めたくなかったのかもしれない。就職もして俺なんかよりバリバリ働いている。

 

しかしあのときの疑問と衝撃が俺の中から消えたわけではない。

人生の蹉跌はどこにあるかわからないし、自分でなくても自分以外の人間から問いかけられる事だってある。

俺は答えを知っておきたい。

次の問いかけには自信満々に答えたいんだ。

  • 昔は勉強が目的である人しか進学しなかったけれど、今はほとんど大半が進学する。 だから「何のために勉強するのか」ということで悩む人が出るのだろうか。 勉強は後の人生をよりよ...

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