2007-04-29

邪悪の測り方

童貞の僕が自分が自分の心の状態を知りたいとき、どうするか。

街のカップルを観察する。

「ああ、幸せそうだなあ。微笑ましいな」

そう思えれば合格点だ。

疲れがたまっていたり、憂鬱だったりすると、カップルを見て、僕は必ず歯を食いしばってしまう。

ぐぎぎぎぎぎぎぎ。

ぐぎぎぎぎぎぎぎ。

ぐぎぎぎぎぎぎぎ。

渾身の力で拳を握りこんでしまう。

ぎゅうううううう。

ぎゅうううううう。

ぎゅうううううう。

見えないバット脳内で動かし、幸せな二人の後頭部を殴りつける。

死ねばいいのに

大体、その辺りで我に気づく。

ごめんね、と僕は思う。君達が悪いわけじゃないんだ。僕が邪悪なだけなんだ。

そのとき、もう僕には歯をくいしばるだけの力がなくて、拳を握りしめるだけの力もなくて、

誰にも気づかれないくらい、小さくカタカタと全身を震わせている。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

生まれてきて、ごめんなさい。

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