遠過ぎもせず、近過ぎもせず、一般に「人を見る」と言われ得る範疇において、その視野においてその瞬間一度に視ることの出来る範囲によって人を分割し、無制限数の重複を許す無数の構成部分となしたとする。
このとき、人間の情報処理量は有限且つ一定であるとし、全ての構成部分は無限の情報量を有するものとすると、人体に占める構成部分の割合が大なるに従って、その構成部分の細部における情報処理量は、その構成部分の更に一部分をのみ構成するに過ぎない別のある構成部分と比して小となる。
これらの前提及び仮定を踏まえた上で、抽象的に妄想的にしかし決定的に美少女性を表現し、にもかかわらず性的煽情を伴うことの少ない構成部分は何処か。
顔は駄目だ。決定的すぎる。胴体は、より強く直接的に性的欲望を掻き立てる。足は、所謂絶對領閾に見られるように、むしろ性的側面においてこそ極めて有利な妄想的表現たり得、妖精の水浴みを窃視するかのような倒錯的快感を与えるものであろう。