My duster died
私のダスターが死んだ
ような気がする
マイダスター
私の仕事場の台布巾。
消毒と洗浄を繰り返しながら何年も一緒に働いてきた。
先日までは生きていた。
そうとうボロくなってきたのは分かっていたけどまだ命があった気がしてた。
2月の末に、仕事場の配置換えがあって、
その時私の部屋の掃除を手伝ってくれた人が、このダスターで壁を拭いて、
その後
「あ、雑巾、捨てときました。」
と言った。
私は顔を上げてその人の顔を見た。
その人と目が合った。
瞬間その人が叫ぶように言った。
「ごめんなさい!戻します!ごめん!ゴミ箱から拾ってきます!今!いま!」
捨てられたことにも驚いたが、そのひとの狼狽振りにもびっくりした。
どれほどの顔をしてみせてしまったのだろう私は、その人に。
その人は私にダスターを返してくれながら言った
「ごめん!本当にごめん。そんなに…大切なんだ。」
私ははずかしくなった。
でも本当に大切にしていたので、でも大切にしすぎていることがはずかしくて、
どう答えていいかわからず、
「すみません。患者さんから頂いたタオルで…思い入れがあって。」
と答えた。
それは事実でウソじゃないけど、それだから大切にしているわけでは全然なくて、
ただ私はこのダスターが好きで好きで、その大事なのに理由はなくて、ただ好きなだけだった。
ボロボロになればなるほど好きで
「…ああ…こんなに…。」
って思って愛しくて、匂いかいで、洗いざらしの布の乾いた匂いがして、、
いつまでも一緒に生きてこうねっていう気持ちがして、好きだった。
きちんと洗って消毒して乾かして、それを毎日繰り返していたから、
布が傷んでも、汚くは全然なくて、いつも清潔な匂いだけしてた。
家ではこんな風にダスターを慈しめない。
ボロくなると婆が捨てちゃうから。
マイダスター。
でも死んだ。
死んだと思う。
これ以上使い続けるのは適切ではないという気が先週からしてる。
でもまだ使ってる。
死体を使ってる気がする。
私は早く新しいダスターを見つけないといけない気がする。
そのことも話したい聞いて欲しいのだけどこれだけ書いたら力尽きた。
ざんねん。
少しだけ書こう。
婆はね、経理の達人でね
達人っていうのはこういうことかって本当
すごいね
こう前向きだね
前へ前へって命のリズムを刻むように
なんかこう生命のリズムを知っていて
そのリズムにそって働くように動くのね
そして煩雑な事柄ひとつひとつを解決するたびに
その解決を自分の喜びにして燃料にしてまた前に進むの
勉強になった
すごく
またいつかもっとちゃんと書きたい
またいつか
「またいつか」って言葉はだめね
いつかって言うたび聞くたび少し思う
いつかは空に吸い込まれやすくて
いつかはたいてい帰ってこない