2007-03-22

休み不忍池の周囲を散歩していた。

花見シーズン間近で、もう屋台などが並んでいた。

その中で一件の屋台に、ふと目がとまる。

豚肉料理を売っているのだろう。垂れ幕にコミカルな豚のイラストが描かれている。

その豚のイラストは、屈託のない、と言っていいような笑顔だった。


瞬間、物凄い違和感に陥った。

怒りでもない。悲しみでもなければ、哀れみでもない。

単純に違和感としか表現出来ないものだった。


しばらく歩きながら、心を落ち着けて考えてみた。

「ああ、単純に、納得出来なかっただけなんだ」


人間が牛や豚を殺すのは当たり前だ。食べないと死ぬから。

だが殺される側の牛や豚は決して笑顔ではないだろう、とも思う。

そんなの誰だってわかってる。自分だってわかってる。

恐らくいつも、こんな問答は繰り返してきたのだ。無意識に。数え切れないほど。

恐らく遠い昔に悩んで、答えを出して、割り切ったのだ。

だから今は悩むことはない。感情より先に理性が処理し、知覚することはない。


しかし今日は。

「でも、あの笑顔はないだろう」と、思ってしまった。

だから処理が遅れた。わずかばかり。感情が溢れてしまった。ほんの少し。

こんな事考えるそれ自体が、人間の傲慢だとわかっていながら。


…こんなに弱い人間だっただろうか、俺は。

なんとなく今は、肉が食べたくない。

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