ライブドア(LD)前社長、堀江貴文被告(34)を懲役2年6月の実刑とした16日の東京地裁判決は、堀江被告が繰り返してきた「(自分が)有名になったので、検察に『狙い撃ち』された」との主張を一蹴(いっしゅう)した。東京地裁が「粉飾額は小さい」としながらも実刑を選択したのは、「成長企業と見せかけるための粉飾」がマーケットに与えた悪影響の度合いを重視したためだった。
公判の主な争点は(1)事件の主導者は誰か(2)投資事業組合を使った自社株売却益は売り上げに計上できるのか(3)堀江被告は架空売り上げを指示したか(4)株価の維持、上昇のためにうその情報を流した偽計・風説の流布があったか―などだった。
判決は、堀江被告のLD内での位置づけを「創業者で、犯行時は唯一代表権のある社長だった。絶大な権限があった」と認定。ただ、自社株売却益の還流計画は元取締役、宮内亮治被告(39)が中心だったと判断し、宮内被告らとの共謀関係だったとするにとどめた。
そのうえで、自社株売却益還流は「新株を発行して、その売却益を売り上げ計上して業績向上を実現しているに等しい」と述べ、認められない“錬金術”だったと明確に「ノー」の判断を示した。
架空売り上げの一部については、LD元役員に堀江被告が送った「少し売上げつけてあげたら?」とのメールなどを根拠に、「実行を指示した」として主導者だったと認定した。
偽計・風説の流布についても、地裁は「株売却のため、株価の維持、上昇目的でうその情報を流した」と認定した。
そして、地裁は堀江被告が各犯行の結果、「人為的にLDの株価を高騰させた」と結論づけた。
堀江被告は1月26日の最終意見陳述で、「10年くらい一生懸命、会社や株主のためにやってきたのに…」などと涙ながらに訴え、「目立ち過ぎたので検察に狙われた」との主張を展開していた。だが、東京地裁判決は堀江被告自身が株主を欺いていたことを明確に認定し、マーケットに悪影響を与えた“元凶”だったとして、被告の“謀略論”を一蹴した。