2007-03-14

昼下がりの駐車場

クルマで移動する仕事をしているので、ときどきさぼって車中で昼寝をする。

クルマを止める場所はロードサイドの大型店や公共施設の広い駐車場で、たいがい同じように昼寝をしているクルマが散見される。

あ、この前もあのワゴン止まってたな、なんてこともときどきあるが、とうぜん我々はヤドカリのように、止まっているときは殻の中に閉じこもっているのでどんな人物がその中にいるのかわからない。

あの人もきついノルマをこなす営業のほんの一瞬の空き時間を憩っているのかもしれないし、アポを入れた相手にすっぽかされて時間をもてあまし、今夜のデートのコースでも考えているのかもしれない。

もし、あのクルマの窓を叩いて「こんにちは、きょうはいい天気ですね。そちらもさぼりっすか」と微笑んでみたりしたら、そこからドラマが始まったりするのかな、と妄想しつつ、自分がそんなことされたら気味が悪いだけだよなと思い直す。

彼らとコミュニケーションを取るような状況があり得るとしたら、その駐車場で突然に事件が発生してみんなクルマから飛び出してくるような場合だ。

事件が起きなければコミュニケートできない。

なんだか、いつも受け身で恋愛もまともにできなくて、心のどこかで大事件が起きるのを待っている自分にいまさらながらに気がつく。嫌になる。

やっぱり窓を叩いてみるべきか。しかし叩いてみたら、こんどは空気の読めないヤツでしかなくなる。

答えのでないまま浅い午睡を終え、フリスクを噛みながら次の仕事へとクルマを走らせた。

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