僕は、当時浄土真宗、蓮如上人の「白骨の御文章」で「朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり」という言葉が好き
(すっと心に入ってくる感じがしてました)で浄土真宗や仏教の教えを調べていました。
熱心にとまでとはいきませんが、心の拠り所としていました。
僕はあえてその話を出しませんでした。
「いや・・自分は学会を信仰するつもりはないんです。宗教って心の拠り所だから自分でよく考えて決めたいんです」と断りました。
「いや、それだったら増田さんにぴったりだ」
「何がぴったりなんですか?」
「きっとって確証あるんですか?」怒るのもバカらしいと冷静な対応をすることにしました。
「幸せって・・幸なんて個人差もあるし、基準もないのにどうして皆が幸せになれるって、今、ここで判るんですか?具体的に説明して下さい。」
「それはお題目を唱えれば判るんだよ」
男性はそれでも物腰柔らかく、しかし目の奥には何やらギラギラしたものと、視線の焦点がさだまっていなかったのを覚えています。
「お仏壇がなければ、このお守りを持てばいいんだよ。お守りを持って常に念じれば幸せになれる。」
「は?これもらえるんですか?」
「これは売ってる。」
「いや、買うって・・別に加入するつもりもないのにお金出しませんよ。宗教入るのにお金払うんですか?」
「自分の壁を越える勉強なのですよ」
「いや、勉強って勉強なら自分で決めて投資しますから。」と段々飽きれてきました。
そこで男性が「ああ、そろそろ夕食でも」と急に奥からお皿一杯に寿司が出てきました。さも用意してあったかのようです。
「まーまー、とりあえず」と男性が勧めてきました。
友人も「そうよ、増田さん。食べましょう」と。
雰囲気的にちゃぶ台返しをしたい気持ではあったのですが、心中では絶対に加入しないと決めていたし、
友人はこれからもつきあいが色々と良い意味で長くなりそうだし・・とりあえずごちそうになりました。
食べているともう一人男性が帰ってきました。
「こんばんは」
「どうも、こんばんは。すいません、お邪魔してます」と僕は挨拶しました。
「いや、いいよいいよ。食べて食べて」と職人さんは言いながら自分の斜め前に座りました。テーブルが四角だったので丁度、ナナメ顔横になります。
最初の男性が「増田さんは彼女さんを亡くされて、今、色々と迷って話が聞きたいと・・」と職人さんに言いました。
僕は、「え・・いや、ちが・・」と言いかけましたが職人さんが先に言い出しました。
「ほー、それは・・辛いことでした・・ね・・。人間、誰しもが・云々」と最初の男性と同じことをいい始めました。
「この本尊にお題目を唱えればちゃんと幸せになれるから大丈夫だよ、自分を信じて一度入会してみないか?」
「宗教って自分で決めるものだと思うんです。勧めていただけるのはありがたいのですが、自分は現在加入するつもりはないので、今日はお話だけ聴いておきます」
「いやいや、増田さん、それは良くない。貴方の事を思えば今、入会を決めるべきだ。」
流石にカチンと来ましたが、一呼吸おきました。
「宗教って心の拠り所だと僕は信じてるので、自分の信じるもの安心するものを信仰するのが宗教ではないのですか?
僕は貴方たち勧めてくれた宗教について今は特に興味もありませんよ。」
「五行?」
「五行の内容はこの経典に書かれているもので・・云々」何やら書物を出して見せてくれましたが、よくわかりません。
「池田先生は、この五行を勉強し人の道に立って自分の壁を越えれば必ず幸せになれるとおっしゃる。わしも読んで勉強してるけどいいこと書いてあります。」
「それと本尊となんの関係が・?」
「本尊はあくまでも自分自身。その自分に願を掛けそれを乗り越えて幸せを目指すのですよ。」
(もう昔の話なのでよく覚えてませんが)
その時点で訳がわからなくなってきました。
何が幸せになるのかがよくわからないのです。
長ったらしい講釈は出てくるのに結論が「幸せになれる」しか言いません。
職人さんにも男性にも「貴方たちは何が幸せになったのですか?」と聴きましたが「幸せになれた」としか返答してくれません。
宗教に具体性を求めるのは愚問かも知れませんが、どうも彼等の言ってる事には信憑性が感じられないです(個人的に)。
それよりも、彼女が亡くなった後に失望感から救われるような言葉も出ず、自分たちの宗教ばかり「幸せになれる」「学会は素晴らしい」「学会は世界でも一番です」
しか言わない事に腹がたってきました。
最後はとりあえず「機会があったら集会をまた覗いてみて」と言われ帰れる事になりました。
「最後に、増田さんのためにお題目を唱えましょう」と皆で唱えましたが、クチパクで帰りました。
これは僕の経験談であって必ず何処でもとは限りませんし、宗教を否定するつもりもありません。
ただ、人の気持を考えない彼等に今でも憤慨するばかりです。
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