2007-03-05

進化について

anond:20070305031934

それはおかしい。

現代でもやはり、環境に適応している者だけが子孫を残している。

というのも、

>本来なら遺伝子を次世代にひきつぐ機会が与えられなかったような人でも子孫を残すことが出来る。

というのは例えば「非モテ結婚相談所等で結婚できる」とか、「かつてであればコミュニティから阻害され子孫を残すことができなかったであろう障害者も、現代のコミュニティでは子孫を残すことができる」とか「医療技術がなければとても長くは生きられなかった人が生き、子どもを生むことができる」とか、そういうことであろう(「現代の医療技術がなければ排除されてしまっていた遺伝子人間は保存している。」の意味はよくわからない。追加説明を期待したい)。

筆者は、そのような人々は「本来」子孫を残すことができなかったはずなのに――言い換えれば環境に適応できなかった者たちであるのに――現代では子孫を残している、と言っている。

しかし、そのような人たちは現代のこの環境――医療技術があり、平等思想が広まっており、結婚相談所がある環境――に適応していると言うことができる。

よって、「進化に逆行している」などというのはおかしい。

進化というのは、常に、"その時"の環境に適応することなのだ。

思うに、筆者の誤謬は、「環境」という言葉にあるのではないかと思う。

普段我々が「環境」という言葉を使うとき、もっぱら「環境問題」というような熟語で使用する。

この文脈において、環境は、「自然の緑」だとか「人の手が加わっていない自然」だとかと、ほぼイコールである。

つまり、環境というのは人間の手の加わっていないもの、人間が手を加えるまでは46億年ずっとその姿を変えずに来た不変的なものである、というイメージがあるわけだ。

しかし、進化云々という議論をする場合に用いられる「環境」というのは、そのような固定されたものではなく、状況に応じたものである。

人間医療技術を発達させたなら、それも含めて「環境」なのである。

環境自然」というような意識があるから、「環境医療結婚相談所がない状況」と考えてしまい、結果として「逆進化を引き起こす」などと言うようになるわけだ。

そんな状況が起こるのかどうかわからないが、たとえば筆者の議論に従うならば、結婚相談所ができることによって、もしそれがなかったならば顔の進化イケメンになる方向だったものが、キモ遺伝子も生き残る、ということになる。

筆者はこのような状況を「逆進化」と述べているのだろう。

しかし地下に潜ったモグラが目を退化させたことが紛れもなく進化である(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%80%E5%8C%96を参照せよ)ように、環境に適応することこそが進化なのだ。

非モテ遺伝子が生き残る、それが現代の環境に適応した進化ということなのだ。

記事への反応 -
  • 過去の生物の進化の過程を眺めてみると、環境に適応できなければ子孫を残さない、というのが自然淘汰の原理として厳然として存在していた。でも、現代社会では、本来なら遺伝子を次...

    • anond:20070305031934 それはおかしい。 現代でもやはり、環境に適応している者だけが子孫を残している。 というのも、 >本来なら遺伝子を次世代にひきつぐ機会が与えられなかったような...

    • あ、僕はそういうのを批判しようとしているわけではないよ。カン違いしないでね。保護や介護は論理的な観点から真っ先に取り組むべき最重要課題だ。障害者たちの人権はいま以上に...

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