すごく久しぶりに合コンに呼ばれた。
僕は浮かれて、テンション高く、その場はとても盛り上がった。
それが功を奏したのか、その中の一人に気に入られて、その後数回デートをした。
僕は固まってしまった。
彼女とはとても気が合い、共通の趣味もあり、一緒にいてとても安らぐ関係だった。
その場で「うん」と即答しておかしくないシチュエーションなのに、
僕は答えられなかった。
なぜか?
一つ、心残りがあった。
働いていた、というのは、今はもういない、ということだ。
僕は彼女のことが好きだった。
いや、好きだったらしい。自分でもあまりよく分かっていなかった。
僕の頭の中から決して離れることはなかった。
幸いにも、彼女と連絡先は交換してあって、たまにメールもしていた。
でも、メールするたびに、嫌われてはいないな、と確認して喜んでいるだけで、
それ以上何かしようという気は持っていなかった。
そもそも、好きなのかどうか、自分ですらよく分かっていなかったのだから。
それが、別の女性と親密になったとたん、
そういう感情がモクモクと湧き上がってきてしまった。
それで、僕は固まってしまった。
こういうときどうすればいいのか、僕の乏しい知識ではすぐに判断できなかった。
しばしの沈黙の間、僕の心に悪い考えが浮かんだ。
キープ。
久々に彼女ができるかもしれない、と思うと、その考えを捨てることができなかった。
でも、前述の心残り。
心に引っかかるものがあった。
僕が黙り込んでしまったので、彼女は「イヤ?」とぽつりと聞いてきた。
僕はイヤじゃないよ、と答えると、なぜ?と聞かれる。
また沈黙。
繰り返すが、僕には恋愛の経験が少ない。
どうしたらいいのかわからなかった。
だから、正直に話した。
「ほかに好きな人がいる」と。
ヒドイ!だましてたの!?二股かけるつもりだったの!?
でも、これは僕がやろうとしていたこと、考えていたことの報いなんだろうな、
とすぐに納得した。
「そうじゃない。自分でもよく分からなかった。アナタにそういわれてから、
自分の心に気づいたんだ。ごめん」
さっきより長い時間、二人の間に沈黙が続いた。
「わかった。じゃあ、その人に告白してきなさい。
それでダメだったら、私と付き合って」
彼女の声は震えていた。
なんでそこまで、と思った。
複雑な心境だった。
でも、僕はさっきの心の痛みを覚えていたから、その申し出は受けられなかった。
僕の堅い頭は、持ち主の望むようには判断してくれなかった。
そのまま彼女と別れ、もう会えないんだろうな、と寂しく思いながら、
大切な人に電話をかけ、数日後に会う約束をした。
数日後、久しぶりにあった彼女は、いつにもまして輝いて見えた。
食事をしながら近況を語り合い、話題は尽きなかった。
しばらくして、ふと、お互いの言葉が止まった時に、
彼女が口を開いた。「何か話があるんじゃないの?」と。
僕は外に出よう、と言って、支払いをして、駅に向かって歩き出した。
駅前のちょっとした公園で、僕は告白をした。
「ごめんなさい。いま、付き合っている人がいるの」
どっちも「彼女」と書かれているのが分かりにくい。惜しい。 もう少し頑張りましょう。
恋愛経験豊富だったら、どうすればよかったんかね? 教えてエロい人!