結局、声のデカい図々しい奴の文章が活字となりデカい面してのさばっている。
そんなものには終始一貫して「NO!」と言ってやろうじゃないか!連中の書いている文章なんて、「やれ誰がどうした、こうした」だの回りくどいのが味気なく続くだけで中身は何もない。「とにかく金が欲しい!」だの「何でもいいからSEXがしたい!」といった興味深い人間の深層心理が痛々しい絶叫とともに吐露されている文章ならば、こちらもぜひ読みたいという気分になるだろうが、己を偽ったコジャれた駄文ばかり連中は書きたがる。
(中略)
僕らが今、必要としているのは声の小さい連中が自信なさげに書いているモジモジした文章なんだ。
徹底して才能のない奴の首根っこ掴んで無理矢理書かせてみるのだ。テーマなんて自発的に考えるわけないから、映画の感想文なんて簡単なものでも良いから、どんどん書かせてみようじゃないか。
中原昌也『エーガ界に捧ぐ』p150より