2006-12-16

絶望した話

ぼくは「たぶん晴れるよ」とそう言った。彼女は「絶対晴れるよといってたよね」とそう言った。ぼくはそれに絶望した。

ぼくはこの絶望を完全に言語化することはできないけれど、あるいは言語化できないことに絶望しているのかもしれない。

ぼくは彼女のことを好きだった。と、過去形で語るのは欺瞞に過ぎるだろう。いまでも彼女のことが好きだ。

ぼくの言葉は確かに彼女に好意的に、好意的すぎるぐらいに受け取られていた。その日は彼女誕生日で、天気予報は雨だった。

だけど、ぼくはある程度の確信を持って、だけれど控え目にその台詞を発した。

当日、公園は初夏の陽気につつまれていた。予言は成就する。

そして彼女の台詞。「絶対晴れるって、そういってたよね。何でわかったの?」

ぼくは笑ってごまかしたけれど、その言葉絶望した。言葉が伝わらないということ。もとの意味以上に好意的に受け取られること。

そのどちらかに、もしくはどちらともにぼくは絶望した。

そのあと、いろいろあってぼくは振られたのだけど、絶望はしなかった。彼女に受け入れらないというそのこと自体は、絶望ではない。

ぼくはもう絶望しないのだと思う。

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