2009-05-01

折れてしまった、わたしの心

4月。新しい始まりの季節。

大学生のわたしは、新しい学年に進み、ようやく専門する分野も決まって、少しだけ張り切っていた。

これから頑張ろう。頑張って授業に出て、勉強しよう。

わたしは、もともと引っ込み思案の暗い性格で、友達も少なく、サークルというものにはいちおう入っていたけれども、そこでも友達といえるほどの仲のよいつながりは作れなかった。

だから、そのぶん勉強で頑張ろうとした。

4月。新しい始まりの季節。

それは一日目だった。前の晩、次の日の授業にちゃんとでようと思って、早めに寝ようとしたけれども、眠れなかった。眠れない、眠れない、眠れない。

ようやくうとうととしはじめたのは、ほんの少し外が明るくなり始める頃。わたしは、ぼんやりとした頭で、起きられるのかな、と思った。

そして、起きられなかった。

目が覚めたら、もう日は高く昇りきった後の時間。枕もとの時計を見たわたし。心臓が、どきんと鳴る。

授業に、出れなかった。

その日の授業には、もう間に合わない時間だった。その日、わたしは、家の外に出なかった。

わたしはそれまで、優等生だった。授業は休まず、勉強はきっちりとして、試験ではいい点数を取る。

友達のできないわたしが唯一できたのは、勉強だった。

一日目の晩、布団に入ったわたしは、考えた。一日くらい、なんとでもなるさ。誰だって、学校にいきそびれることは、ある。

だけれども、それは、一日だけではなかった。

次の日も、目が覚めると日は昇りきっていた。昨日と同じ。心臓が、どきんと鳴る。

その日、わたしは眠れなかった。一睡もできなかった。目が冴えて、疲れた頭が、じりじりと焦げる。

結局、その一週間、わたしは学校に行けなかった。

わからない。なんで急に。行こうとしても目が覚めず、目が覚めても体がだるい。そんなことは、わたしにとって初めてだった。どうしたらいいか分らなかった。

わたしは、学校を休むほかなかった。明日はきっと行ける。ちょっと疲れてただけだよ。気にせずに休んでれば、明日はきっと元気に行けるはず。

わたしは、だけれども、結局次の一週間も学校に行けなかった。

なんで? なんでわたしは……

わたしはもう完全に元気を失っていた。ぼんやりとした頭で、布団の中でまとまらない思考をじりじりと巡らせる。

わたしは、いったいどうなってしまったのだ?

誰か、誰か、助けて。

だけれども、わたしを助けてくれるひとは誰もいなかった。わたしには、友達が、いない。

どうすればいいのか分らない。誰か、助けて。

誰もわたしを助けてはくれない。

布団の中でぼんやりと過ごす毎日。気がつけば、五月。連休が始まっていた。

布団の中でひとり、ぼんやりと過ごす毎日。

どうすればいいのか分らない。

誰か、助けて。

  • 遅刻でもいいから目が覚めたら家からでな。そして学校に行きな。行ってみたらうそみたいに悩んでたことを忘れるよ。そして頑張ろうとしなくていい。遅刻しても勉強ができなくても...

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