2008-11-21

君が連絡を遮断したのに今更また連絡してきた。

断ろうかとも思ったけど、ご飯くらいいいかと行くことにした。どうせその辺のファミレスだし。

長いこと沈黙が続いた気もする。やり直せない?って唐突に君はいった。

雨の季節だったからビニール傘を持ってた。徹夜あけの空は快晴で、君はやたら不機嫌そうに何も言わなかった。送ってもらう車の中でもうだめなんだろうなって思ってた。別れるときはいつも寂しくて泣いてたのに、あのときはありがとうといってすぐに降りた。それから君とは連絡がつかなくなった。君が連絡を遮断したからこっちからはとれなかった。ずいぶん泣いたり怒ったりしたけど、自棄になって休みのたびに誰かとご飯に行ったり飲みに行ったりしたけど、その中で優しい人とまた新しく出会って、新しい恋をしてそして君のことを少しずつ忘れていった。あの最後の日の木漏れ日がゆれてたベンチのことは忘れないけど。美しい六月最初の日だった。一気に夏へ向けてかけだしていく空気の中で一人立ち止まって泣いてた。

始ってもなかったじゃないと私は答えた。だけど、と君は続けてそれから都合の悪いときに許してもらうためにする、かわいい笑顔で好きだよ?と言った。

私は好きじゃない。君がえ?という顔をするのが憎らしかった。まだ好かれてると思ってたんだ。それがわかってしまったのが憎らしくてしょうがなかった。ほかにすきなひとがいるからといったら君はしばらく黙り込んで、それからゆっくりときいた。俺の知ってる人?知ってる人だよ。俺とその、よく遊んでたときからそうだったの?違うよ。私は君とは違うから、同時平行で誰かを好きになったりはしない。君といたときは君と、君と連絡が取れなくなってしばらくしてから彼と二人で出かけたりするようになった。

君はかなり意外そうだった。そんな人みたことないと小さな声で言った。そうだと思うと答えた。

ずっと思ってた。君と私は住んでる世界が全然違う、価値観も全く違う。君は僕といるときそれに気づかなかった、僕は君といるときそのせいで悩んだり悲しくなったり寂しくなったり傷ついたりした。

君とは、始らなかったんだ。始めようがなかったんだ。

そのあとはちょっと世間話をして、店の前で別れた。君はまたさよならを言わなかった。きっとまた連絡が取れなくなるんだろう。とろうとも思わないし、私には大事な人がいるから君のことはきっと忘れていくんだけど、私は別れ際にはさよならを言う人なんだ。そうしないとちゃんと区切れない人なんだ。区切りをきちんとつけてそれからまた新しい出会いに向かう。君とはたぶんずっとわかり合えない気がする。ずっと理解できない気がする。そういう人がいるんだって教えてくれてありがとう。さようなら。

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