2008-08-17

97年冬

夜になって居場所が駅しかなくなった。

伊那の駅の待合室で読書をしていると、隣に座っている女性の前に、ズカズカと長靴の音が近づいてくるのがわかった。

「おい」年配の男性の声。彼女は無言で立ち上がり、男は、ズカズカと歩き去った。

しばらくして、バタンと車のドアを閉じる音が聞こえ、走り出した。

そのあとの沈黙が、たとえようもなく切なかった

家族っていいなぁ。

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