2008-01-24

モンスター

自分は今までの人生でもの凄く辛い目に遭ってきて、それでもがんばったからこれはご褒美なんだと彼女は云った。彼女の「ご褒美」のためにわたしが地獄の苦しみを味わうことを「知って」はいたけど、そんなものは、意に介さない。「だって彼がわたしを選んだんだから、これは当然の権利よ、取られるあなたが悪いのよ」。

腹いせにしかならなくても、法的立場を楯にとるとか、あるいは「死ね」とか何とか酷いことを云うとかして、修羅場に持ち込むことだってできたがしなかった。ただむなしかった。それを敗北宣言だと取られた。「わたしたちの世界から出て行ってよ」。

そもそもそれはご褒美だとか権利だとかましてや愛の問題じゃなく、はずみだろ、簡単に「わたしたち」とか云っちゃってめでたい女だと思った(男の方はだんまりだった)。まあこれも口には出せなかった。

彼女が今でも「幸せ」でいる、と考えると気が変になりそうだ。得意顔で他人を踏みにじる人間「の方が」幸せになるのか?わたしの気持ちはいまでも真っ暗なのに、彼らは「幸せ」なのか?彼らはわたしのことを思い出して、良心の呵責を感じたりするんだろうか?確認はしていない。わたしは彼らの世界から立ち去ったから。ただ、ひとりで悶々としている。周囲の人間は、もう忘れて他の人と幸せになりなよ、と云う。でもその気になれない。いじけて何になる、といわれればそうだけど、それが全部じゃない。

わたしが黙っていたのは彼女を許したからでも敗北を認めたからでもない。目の前で喚いているこの女とわたしとを分けるものなんてあるのかと思っていた。わたしが彼らをボロボロになるまで追いつめる図は、簡単に想像できた。実際に傷つけてきた人たちの顔も浮かんだ。結局わたしもまた同じように誰かを傷つける人間だということの重みに耐えかねたからだ。かっこつけるわけじゃなく、怖い。もう、誰かが泣いてるのを見ることに耐えられない。

基本的に、彼女不器用だけどいい子だった。幸せになればいいと思う。

わたしは幸せを求める勇気がない。そんな者にはチャンスも訪れない。

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彼女」のモデルにした人物が単数じゃないって時点でなんか終わってる気がしてきた・・・

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脳内鍔迫り合いで、かつ負けてるぽい。

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