■事実と考えの区別が出来ていない

個人を非難する訳じゃないので、個人名は出さないけど、あるところで例のゴミおせちに関する話題になって、バイトらがコートを着たまま調理している写真があった。写真だけダイレクトに貼ってあったので、「これは何の写真ですか?」とコメント欄で聞いたところ、ある人が「お店のブログにあった、姉妹店の写真です」とのこと。

そこで、「じゃあ、この件とリンクさせるには微妙ですね」と返したら「え、なんで? だって、姉妹店ってことは、他のお店でもやっているに決まっているじゃん! 現場を往復していたという証言だっているんだし!」「だから、この写真は、その件に関する参考写真なんですよね?」「俺は現場写真だと感じます」

...ここでもう対話を止めた。残念ながら、彼は事実と推定の区別が出来てなかった。「感じる」ってなんだよ。ここで言えば、写真と証言は事実を推定する為の間接的な証拠にすぎない。俺だって、十中八九同じように不衛生な環境で料理を作っていただろうと思うのだけど、それは推定の段階。ここは厳密に区別しよう。

なんでこれにこだわるかというと、推定を強引に事実認定してしまうのは十分に暴力だから。2chやtwitter上のデマは、たいていこの暴力に起因している。簡単な例は、男女二人が歩いてる写真を使って、「熱愛発覚」とキャプションを打つこと。しばらく前もソフトバンクが在日韓国人向け割引をしているという話があって、割引の写真が掲載されていたのだけど、その写真の中に「在日韓国人」に関する記載は無かった(この件はある程度は事実だったみたいだけど)。無理矢理証拠をつなぎ合わせて強引に事実を作ってしまう現実には恐怖を覚える。

少なくとも、日本には「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A8%E5%AE%9A%E7%84%A1%E7%BD%AA 推定無罪」の考えがあるし、この原則に従う限り、何が事実で何が推定なのかを明確に分けていかなければならない。「そんなことしたら、何が事実かわからないじゃないか」というかもしれないけど、自分に関係ないことであれば、放っておけば良いじゃん。そこに勝手に介入して勝手に事実認定するのは、武器を持つよりも恐ろしい暴力だ。

こういうことは、何遍も繰り返されているけど、いつまでも治る気配がない。大人だってこういう人はたくさんいる。

ちなみに、当の彼はこの件を「食文化を毀損する大事件」という風なことを言っていたけど、過去には、100名以上の死者を出した森永ヒ素ミルク事件 http://www.sydrose.com/case100/302/ ってのもあるし、10000人以上の食中毒患者を出した雪印の食中毒事件 http://shippai.jst.go.jp/fkd/Detail?fn=0&id=CA0000622 ってのもある。後者なんか、10年も前じゃない。これに比べれば、おせちの事件はまだ優しい方。

Permalink | 記事への反応(4) | 11:28

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