僕は仮面ライダーになりたかった。
当時流行っていたのは仮面ライダーブラック。もうあまり詳細は覚えてないがライバルにシャドームーンっていうやつもいた
グッズもいっぱい買ってもらった。変身ベルト、ビニール?の人形、お面、服などなどだ。
当時どれほど憧れていたんだろうか。もう当時の記憶は曖昧なのだけど今でもその気持ちだけは覚えてる。
怪人相手に果敢に立ち向かっていく姿はまさに僕の理想だった。
それからたぶん20年ほど経った。今の年齢は27歳。もうアラサーだなんて呼ばれる年齢だ。普通のサラリーマンだ。
1週間を休日を楽しみに過ごし、たまには理不尽な要求をされ、職場の人間関係なんかに気を使うごく普通の、もしかしたら普通というものすらもおぼつかない。
もちろん無理だし、安っぽいヒーロー願望だなんてわかってる。でもそれでもなりたいという気持ちを否定する気にはなれない。
実際の僕はろくに筋力も体力も無い。格闘技なんかやってたわけでもない。刃物でもつきつけられればすぐさま降参だ。
命乞いでもするかもしれない。
でもそれでももし大切な何かを守ろうとするときそういう弱い自分を理解したうえでなお立ち向かえる様な人間でありたいと思う。
心の中で変身してかましてやりたいと思う。仮面ライダーになりたいと思う。