かれは当時26歳、高校中退だそうだ。
ふたつ趣味があるらしい。
暗い非モテかと思うかもしれないが、かなりのカワイイ系イケメンだった。
身長は180ぐらいあった。ファッションもおしゃれで、ブーツを履いていた。
背が低い男が、無理にブーツを履いているのとは違い、とても似合っていた。
だが声が小さかった。というか、全体的に控えめな印象だった。
体の大きさのわりに、存在感が薄かった。
今まで女性と付き合ったことはないらしい。
甘やかされて育ったのかと思っていたが、そうではない。
「作業は単純だったけど、仕事が終わると妙な疲れがあった」と言っていた。いまは無職。
兄が一人いるらしいが、とび職だと言っていた。パチンコ狂いで、貯金はないらしい。
そんなDQNな家庭の子なんて、どんなDQNかと思うかもしれない。
バイトで事務作業を手伝ってもらったが、エクセルなどの使い方もすぐに覚えていた。
家にパソコンはないらしい。しかし、速度は遅いながら、タッチタイピングもできたいた。
公共の施設などに通って、練習したそうだ。
今までやった仕事は、ほとんど工場の単純作業か清掃だったらしい。
年をとってきたので、事務の仕事をしたいと言っていた。
だが高校中退なので、なかなか厳しいのだそうだ。
「けど、しょうがないですね」と、彼は淡々と言った。