死にたい、と僕はいった。
闇の中に同じ言葉を繰り返した。何も向こう側に通さない厚みへと。
だったら、死ねばいい、と彼女はいった。
本当は死にたいのではないと、突き放されてはじめて気づく。
僕はただ、話を聞いてもらいたいだけなのだ。それなのに、
話せ、といわれても言葉が何一つ出てこない。あとか、うとか、音が漏れて、続きはない。
だから僕は「死にたい」んだ。話したいのに、話したいことがないなんて。
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