ぼくは普段から気分が安定しない人間。
周りに嫉妬ばかりしててそれを隠してるつもりで汚くて小さい。
今日はとても嫌なことがあって、
いつものように話してる友人(だとぼくは思ってる)に電話で話した。
頼りすぎてしまったんだと思う。
お前は言ってるだけで結局行動起こさない。愚痴を聞かされて腹が立つ。
そう言われた。
そのとおりだと思う。
分かってるはずだけど裏切られた気持ちになって
とにかく吐き出したくなった。
友人を巻き込んでも、吐き出した愚痴では最初のストレスを解消できなかった。
真夜中だったがバイクに乗って家を飛び出した。
いや、一人で行くのは恥ずかしいな。
結局決められなかったが、気づくとバイクで走りながら唸っていた。
ああ、やばいなあ。
人に聞かれたくないなあ。
大通りから外れて車の少ない方向へずっと進んでいった。
苦しさで目が潤んだけどとにかく走った。
どこだ。ここ。
時計は確認しなかったけど多分10分から20分くらい走ったと思う。
暗いなと思ったら街灯が無い場所だった。
さっきまで大きい道を走っていたはずだけど。
少し寒さを感じた。
真夜中だから当たり前なのかもしれないけど。
帰ろう。
自分が知ってる街からは出てないと思うのだけれど。
周りをみると田んぼばかりだ。
来た道を振り返ってみれば真っ暗。
おかしいな。
今になって考えればあの時戻るべきだった。
来た道が分からなくても。
民家らしき明かりがあるのだけど時間は12時を回っていた。
怖かったけど迷惑になるようなことはできないよな。
というか、なんでこんなに家から家が遠いんだ。
ここどこだ?
完全に迷った。
舗装された道路も標識も見慣れたものだったけれど安心できなかった。
街灯を見つけたけれど、それを追っても何故か深みにはまっていった。
途中で街灯がなくなるんだよ。
林なのか森なのか分からないけど、空を隠されたら終わりだと思った。
きっと近寄りがたい人間だったけれど。この時ばかりは。
遠くに明かりが見えるような気がするのだけれど、道が分からない。
バイクが止まったら死ぬんじゃないかと思った。
こんなことってあるか?
メンテしてなかった所為もあって、最近切れ掛かっていたライトが切れた。
ハイにしないと明かりが確保できない。
ハイの方のライトも鈍くなってる。
バイク屋行っておくんだった。
ああ
きっと寒さの所為だと思うのだけれど、歯がガチガチ震えてきた。
周りが暗すぎる。
墓を見つけて背中が震えた。
もう本当に怖くて。
家を出たときの苦しさは吹っ飛んでいた。
もう。早く帰りたい。助けて。
泣きそう。
誰か助けて。
空を見上げると星が見えた。
星座は全然知らないけど、たくさん集まってる方向があるというのは確認できた。
星を頼りにするなんて現代じゃ考えられないけど。
方向を確認しながら進める。
ある角を曲がった途端、急に明るくなった。光ってこんなに安心するんだなあ!
どこか分からないけど、でも比較的大きな道との交差点だった。
その後コンビニを見つけ、レシートと地図で現在地を確認することができた。
俺の家から10kmくらい離れていた。
バイクに入れておいた、ばあちゃんからもらったセーターを着た。
帰ろう。
家に着くとすぐに風呂を沸かして入った。
あったかいなあ。
・・・真っ暗で怖かったなあ。光ってこんなに安心するんだな。