2009-08-22

今季のセリエA(2009-2010)

カカのレアル・マドリー移籍、イブラヒモビッチのバルセロナ移籍に加えて、フィーゴ・ネドヴェド・マルディーニの引退と新旧ビッグネームがごっそりといなくなってしまった今季のセリエA。さあ何処まで堕ちて行くのか見物だぜ、本当の地獄はこれからだ、カルチョスキャンダルの結果がごらんの有様だよ!!! といった感じですが、さてさて今シーズンのスクデット争いは、その影響もあってか作シーズンと少し趣が変わり、一気にユヴェントスがインテルに迫ってまいりました。

  • インテル
    • とはいうものの、スクデット最右翼は4連覇中のインテルでしょう。イブラヒモビッチが抜けたものの、エトーというビッグネームを獲得。さらにディエゴ・ミリート、ルシオ、モッタと、各ポジションに優秀で計算できる戦力が加入、ただでさえ厚い選手層をさらに厚くしました。最大の、というか唯一のと言ってもいい問題点は、FWながらも並みの10番以上に10番らしく試合を作っていたイブラヒモビッチが抜けてしまったことで、インテルはどうやって試合を作っていくのか―――どうやって点を取るのかという事。現状のままではエトー、ミリート、バロテッリが孤立して右往左往、マイコンが孤立して孤軍奮闘する姿が目に浮かびます(それでも勝てちゃうくらいに強いのも事実ですが)。たとえ新戦力が上手くフィットするにしても、たとえ去年ダメダメだったクアレスマやマンシーニが今年復活するとしても、やはり「プレーメーカー不在」による厳しさは容易に想像できるでしょう。ここをどう埋めるかが、今季インテル最大のポイント。現在(8/22時点)、レアル・マドリー所属のスナイデルやファン・デル・ファールトへの関心が伝えられていますが、彼らのような優秀なトレクアルティスタを獲得できれば(特にスナイデルの方を獲得できれば)、インテル念願の――というか10年以上前からずっと不在不在必要必要言われ続けてきた(笑)――優秀なプレーメーカーが獲得できて、そしてフィットすれば、5連覇はおろかチャンピオンズ・リーグでも素晴らしい戦いが期待できるかもしれません。
  • ユヴェントス
    • 主力放出は特になし(引退したネドヴェドくらい)ながらも、ジエゴ、フェリペ・メロの両ブラジル代表を獲得して着実にパワーアップしたユヴェントス。カンナヴァーロもスペインから帰ってきました。メンバーからも、プレシーズンの好調さからも、一気にインテルとの差を縮めたユーベ。特にジエゴは創造性に富んだプレーをしながらもきっちり走れて守備も貢献できるところを示し、早くも中心選手じみてきました。F・メロも相変らず堅調で、ようやくここ数年のアホ補強から抜け出してまともな補強が出来初めてきたかな~と思わせるプレシーズンでした(まあ二人共移籍金がちょっと高い気もするけど)。相変らず守備陣は不安ありありですし、FW陣もインテルに比べれば見劣りしますが、それでも対インテルにおける圧倒的なポールポジションにユーベが位置しているのは確実でしょう。残すは新任監督フェラーラが、吉と出るか凶と出るか。
  • ACミラン
    • カカはいなくなりマルディーニもいなくなり、アリ・シソコにはわけ分からん不義理をかましてしまい(移籍決定→歯に問題あったので移籍破談→ミラン「でも安上がりなレンタル移籍ならしたいんだな」→ポルト「ねーよwww」→後にシソコはフランスのチームに移籍、歯の問題?ねーよ ←どういうことなのこれ……)、L・ファビアーノすら取れなくてベティスに「ミランは金ない」と言われてしまう始末(最終的にフンテラールを連れてこれたけど)、そして「故障者が戻ってくれば、選手を獲得する必要はないだろう?」と言い切ってしまう危険さ……と、移籍市場・チーム外部ではガタガタ。ではチーム内部はどうかというと、「イチかバチかでロナウジーニョにかけます!」という方針ゆえ、本当にイチかバチかすぎる状況……。実際にプレシーズンでは、対戦相手が一流揃いだったとはいえ、イチかバチかが「悪い方」に出てしまい連敗につぐ連敗、先日ようやく勝てたというところ。今季のミランを簡単に申し上げるなら、いくつかの「賭け」をしています。1:ロナウジーニョの復活、2:パトの躍進、3:ネスタをはじめとする故障者の復活、4:怪我人がなるべく出ないこと。既に監督やオーナーらが発言しているように、当然ロナウジーニョの復活に賭けまくっていますが、しかしあまり分の良い賭けとは言えないでしょう。しかしロナウジーニョが復活しないでも勝てるか? と問えば、下位相手はともかく、インテル・ユーベあたりには厳しい―――というか無理に近い。ただ、ブラジルの新星、現時点の素質や将来性ならロナウジーニョやカカやロナウドにも並ぶパトが、本当にそれほどの素質があって本当にそれを開花させてしまうのであれば、ロナウジーニョの復活がなくても戦い抜けるかもしれないというのも事実。とはいえそれとて、故障者が復活すること、そして「怪我人の復帰はイコール新戦力獲得だ」というオーナーサイドの言葉が真実となるように、ちゃんと怪我人が復帰して怪我人が出ないこと、つまり「ベストメンバーを組めること」にかかっているでしょう。いずれにせよ言えるのは、厳しくて難しい「賭け」だということ。一人二人不調になっても、一人二人怪我してもスクデットを十分に狙えるインテル・ユーベと違って、ミランは「不調も怪我も認めない」という姿勢で挑んでいる。針の穴を通すようなこの難しい賭けが成功すればスクデットに手が届くかもしれませんが、果たして……。
  • 他チーム
    • なんだかんだ言って、2位や3位はともかく「1位」というのであれば、可能性があるのはこの3チームだけ(実質はインテルとユーベだけ)ではないでしょうか。伸び盛りフィオレンティーナはどうしたってF・メロの穴が気になるところ。とはいえミランよりは安定性・確実性は高いでしょう。主力2選手を失ったジェノアは、代わりに入った選手がその穴をどう埋められるかがポイント。クレスポの復活は十分あるんじゃないかと個人的には思うのですが。ラツィオは謎。プレシーズンでは移籍希望選手の処遇を巡って空中分解しちまうんじゃねーかくらい危険な香りがしましたが、なんだかんだでスーパーカップを制覇。意外と良い所までいきそうな気もしますが、しかしそれと同じくらい案外で終わりそうな可能性も孕んでいます。サンプドリア、ナポリも注目株でしょう。当然ながら前者はカッサーノくん、パッツィーニ、後者はラベッシ、クアリャレッラが注目ですが、それ以外の選手の活躍次第ではさらに上も。特にナポリは今季一番のダークホースかもしれません。ウディネーゼは誰もが予想するとおり、今年もまた良くも悪くも例年通りではないでしょうか(笑)。現在唯一の日本人セリエAプレイヤー森本がいるカターニャは、まあその、優勝争いどころかEL出場権争いとも無縁ですが、俊輔がいたころのレッジーナみたいに、それなりに下位の方で安定しています。そしてローマは……一言で云えば「金が無さすぎる」。主な放出はアクイラーニ、これはまあそこまで痛くないのですが、主な加入選手が……加入選手が……あれ、どうしてだろ、誰も思い出せないなー。DFの補強がおぼつかないとか、クルスとかシェバとか色んな選手が噂に上がりながらも誰一人獲得できなかったFW陣とか、金がないからレンタル移籍しか申し込めないところとか、正直、戦う前から白旗を半分揚げている感が漂っていて危険がいっぱいなのですが、まあなんというか、スクデットはムチャっぽいけど、頑張ってもらいたいところです。

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