2009-08-22

http://anond.hatelabo.jp/20090821193639

考え切れてないので勉強したいのですが、

要するに政府が以前やっていたビジネス(財政投融資)は国民が日本政府という日本で一番大きな会社の社債(郵貯、特に定額貯金)を買ったお金を運用するもので、これは儲けの出ることが前提でした。

これは税金を使って政府が(儲からない前提で)やる仕事とは別なのですが、郵貯にはいろいろ有利な条件(定額貯金の解約ペナルティが小さいとか、地方にもまんべんなく広がった支店網とか、民間銀行より高い利率とか)がついていて、これは税金を裏付けにしていました。

日本が不景気になって政府のビジネスも(民間以上に)儲からなくなり、税収も不景気で落ち込み、また儲からなくなった民間が民業圧迫と政府のビジネスを非難するいっぽう、国民も政府のビジネスが赤字を垂れ流し税金を無駄使いしていると非難をするなど運営が困難になったので、郵貯や国債より返済順位が大幅に劣後する、いわば政府のジャンク債(財投機関債)を発行して、政府の子会社(特殊法人 → 独立行政法人)を流動化、リストラすることになりました。これが2001年からの財投改革です。→ http://www.keieiken.co.jp/monthly/2006/0607-8/index.html

財投改革も小泉政権の政策の一つですが、当時の大蔵省で実務にあたった高橋洋一(後に竹中大臣の部下として郵政民営化の実務をやり、こないだ銭湯で時計を盗んだということで逮捕され失脚しました)は、財投改革によって郵貯の投資先がなくなり、自主運用に切り替わった時点で、政府の仕事として郵貯をやり、税金を裏付けとして魅力的な商品性を維持することが正当化できなくなった、と主張しています(少なくとも私はそう解釈した)。ここのロジックに飛躍(すりかえ?)がある気はします。実際のところ、郵貯はその後も額を少し減らしたものの財投機関債に投資し続けたからです。

ただ、大蔵省サイドの改革が行われなかった、というのは上記の財投改革の説明から、事実誤認、ないし、誇張だといえます。

この件についての小泉政権側からの説明は高橋洋一『さらば財務省』『財投改革の経済学』、元増田のお父様の主張するような反米側からの説明は関岡英之『拒否できない日本』『奪われる日本』にあります。私の書いた内容は『さらば財務省』における高橋氏の説明を自分なりに解釈したもので、関岡氏の本は読んでいません。

追記:富田俊基『財投解体論批判』の Amazon 紹介によると、「だが、一九九七年八月、財投改革は一つの方向に動きはじめた。呪縛の解けない世論に迎合するかのように、行政改革会議が郵貯の運用部への預託制度の廃止を、そして自民党が財投機関による債権発行を提言したからである。この方向を突き詰めると、財投解体ということになる。」とあります。なので方向性自体は小泉政権以前に決まっていたということになります。富田氏は日本における国債発行高にかかわる問題の権威なので、高橋/関岡だけを読んで理解した気になるのはおそらくまずいでしょう。私も機会(というかお金)があれば読んでみます。

記事への反応 -
  • 普段、政治についてあまり興味がなかったりするわけだが、(日本国民の三大義務が分からないぐらい) 実家に帰ったときに聞いた親父の話が面白かったので、覚え書きを。 家族で政...

    • 考え切れてないので勉強したいのですが、 要するに政府が以前やっていたビジネス(財政投融資)は国民が社債(郵貯、特に定額貯金)を買ったお金を運用するもので、これは儲けの出...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん