博士号を取った後も、なかなか大学に就職できなかった。
全部で80くらいの大学に書類を出し、10回くらい面接し、ほとんど落とされた。
やっと決まった大学は、事実上コネで決まった。
いちおう面接はあったのだが、完全な出来レースだった。
そしてはじめて出来レース面接を受けたとき、それまでの面接とはあまりに違ったので驚いた。
面接官はほとんど質問をしなかった。
自分の研究や論文についてはほとんど聞かなかった。
ごくわずかの質問の後は、給料とか勤務条件などの事務的な説明だった。
その面接を受けたとき、今まで落とされた面接で、
自分かいかに的外れな期待や反省をしていたかに気づかされた。
[1] 面接官に熱心に質問されることは良いことだ、という嘘
出来レースの場合、もう採用と決まっているので、そんな質問はしない。
逆に落とす予定の人には、熱心に質問するフリをするだろう。
[2] 同じ面接に呼ばれる他の人たちは少なければ少ないほど良い、という嘘
どうせ落とすとわかっている人を何人も面接するほど、面接官はヒマではない。
また、おそらくそんな面接は、するほうも心苦しい。
だから出来レース面接の場合、採用する人以外に呼ぶ人数をできるだけ絞る。
[3] 仮に採用した場合、本当に来るかどうかを入念に聞く
万一、他に抜けられてしまった場合、替えがないからだ
たった1回の体験なので、一般化するのはあまりに乱暴だが、
たまに面接に呼ばれると、おろかにも舞い上がってしまっていた自分を反省する意味で書いた。