2009-07-11

ある在日女の子が好きだった学生時代

http://anond.hatelabo.jp/20090414170900

私は、学生時代ある在日女の子がとても好きでした。

その経験を書いてみようかな。

その人は、私より2つ年上で、演劇好きな、日本国籍をもたない在日韓国人女性で、独特な感性というか勘のよさを持った不思議な魅力を持った女性だった。

彼女在日であるというのは、出会った早い段階から聞いていたと思う。でも、その事実を知る前から、多分一目ぼれ状態で好きになっていたと思う。

加えて、当時、ナショナリズム論に関心を持っていたので、在日韓国人という人たちはどのようなアイデンティティを持っているのかという興味もあった。

彼女は私のそうした下世話な社会学的理由からの、研究対象としての関心を、多分あまり気持ちよく思っていなかったのだと思う。でも、彼女の独特の魅力がどこから生まれてきたかを考えると、家業焼肉店であり、商家特有の気さくな点と、一家で団結して商売を営むことから来ていると思われる家族思いな点などは、彼女の家の由来と切り離しがたく魅力を作っているように感じた。

私などは、日本国籍を有し、ちょっとばかりペーパーテスト能力があったばかりにあるお金持ち有名中高一貫校に通っていたこともあって、青年期に左翼思想に触れてからも、自分の出自や育ちから地金が出て保守化するのじゃないかという恐れを常に抱いていて、揺るぎなく左翼思想自分体感が一体化するアイデンティティを持った人に憧れていて、その点で、在日韓国人であり、政治にも少し関心がある彼女に憧れていたのだと思う。

あと、彼女演劇など感性的なものが好きだったというのも理論偏重の自分にはない特徴で、そうした感性的なものを持っている人への憧れは大きくあったと思う。

彼女のほうは私のほうからのそうした過剰な思いいれを、少し嫌がっていたのか、それとも重荷に感じていたのか、今でも彼女の気持ちはよくわからない。

でも、一度彼女に振られてからは、彼女のことをそうした属性からではなく、ありのままに見つめようとした。その結果、一緒に二人で海外旅行に行く仲になるまでには信頼されるようになったのだと思う。

結局、旅行後にどうしても好きなんですと告白したところ、ちょっと考えさせてほしいといわれ、どうしても返事ができないと言われ、返事がないまま今の状態にいたり、8年間もうほとんど会うこともなくなった。

今となっては、告白の仕方が悪かったとか、彼女属性への思い入れからの好意を彼女は嫌がったとか、結局都合のよいキープ君として使われたのだとか、日本人と付き合うことに怖れを抱いていたのかとか、普通に単純に自分人間的魅力がなかったことが海外旅行で露呈したのかとか、いろいろ考えるのだけど、返事がない以上、彼女が何を考えていたのかわからなく、考えても考えても答えは出ないまま8年が経過し、しかもそれ以来好きな子もできないまま。

今は、なぜその子にそんなにこだわっているのかわからない、こんな状態でいるのはつらい、あの子よりいい子なんているのか、いやもう女の子なんて関わりたくない、女なんて嫌いだ、とぐちゃぐちゃどろどろした感情がとぐろを巻いている状態となっている。

あるいは私にとって彼女は、おそらくミラン・クンデラの小説『存在の耐えられない軽さ』の中の、フランツにとってのサビナみたいなものかな、と考えることもある。

あの学生時代の恋はいったいなんだったんだろうなぁ。

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