再び、小気味よい銃声が響く。次の組らしい。
「……む」
片方は涼宮山だった。
「はぁ、ふぅ」どすんどすん。ふるふる。
「はぁ、ふぅ」どすんどすん。ふるふる。
豚肉と牛肉を一緒に煮た鍋のような混沌的交配を見せて揺れる胸と腹、
「はぁ、ふぅ」どすんどすん。ふるふる。
艶めかしいというよりは生々しい漏れ方をする呼吸。
そんな物体が50mを6、7秒で走った。
おお、うわあ、という驚愕と感嘆の入り混じった声が男達から上がる。
俺はというと、先の例があったので幾分驚きは少なかった。
あれだ、ヤツの構成物質は軽量スライムまたはそれに準ずる何かか?
それはさておき。
この時期、涼宮山ハルヒもまだおとなしい頃合いで、俺にとっても心休まる月だった。
……しかしながら、ハルヒの奇矯な振る舞いは、この頃から徐々に片鱗を見せていたというべきだろう。