2009-05-10

牛のお医者さんという仕事

親が産業動物獣医をしている。

牛のお医者さん。

自分の親ながら思うんだけど、すごい仕事をしてると思う。

まず、自分が診療に回ってる農家の牛、2000頭くらいは斑紋と名前が一致してる。

昔は農家も多く、全盛期は倍くらい覚えていたらしい。

うち半分の成牛(牛乳を搾ってる牛)に関しては、最後の出産や、最後にきた発情の日をだいたい覚えてる。

どういう病気をして、どのくらい乳がでるかなんかも当然。

その牛の親(雌親)と、種を言うことが出来る。

さらにその上の世代も。

下手したら飼い主よりも詳しい。

時に、というかかなりの頻度で診療や人工授精の依頼を断る。

「~あの牛?まだ時期じゃないからなんでもないよ」

って具合に。

逆に、依頼されなくても仕事をする。

勝手に発情の牛を見つけて勝手人工授精して書置きを残していく。

勝手病気を見つけて、手術して帰る。

餌から種から牛舎の設計から財務まで。

コンサルタントというか、ほぼ全部。

別にコンサルタント料を取るとかじゃなく。

少し前までは事務仕事もほぼ無償でやってた。

いまになって思えば、まともに依頼を受けるだけだとこんな仕事できない。

こんな親父でも、行ってみたらなんでもなかったっていうことがよくある。

請求するもの面倒くさいから請求しない。

330日くらい働いてると思う。

糞まみれ血まみれ。

運送屋と同じくらい移動してる。

腕がよくても、知識があっても、出来る仕事じゃないと思った。

ヒトとしての生き方よりも獣医としての行き方を選ばないとやれない仕事だと思った。

ってわけで、継ぐのは諦める。

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