中学の修学旅行の時なんだけど、俺の居た学校は田舎で、東京に行く事になったんだ
その時、好きな子と偶然同じ班でさ、内心はしゃいでた
班で自由行動をとる日、地下鉄に乗ったんだけど、地元じゃ有り得ないぐらいの混み様で、凄く緊張したんだ
それはみんな同じみたいで、なんか落ち着かない様子だった
そしたら、その好きな子が俺の制服の袖を掴んできたんだ
それがとても嬉しかった
その子の手は、恐いのか少し震えてた
俺は、その時気付かないふりをして、周りの奴らと喋ってた
急に、その子は腕に抱き着くようにより添って来てくれた
俺は、へたれて
「お、おい…」
みたいな事しか言ってあげれなかった
数秒して、その子は俺の腕を無言で離した
もう袖も掴んでくれなかった
何であの時もっとマシな言葉をかけてやれなかったのだろうか
今思えば、その子と俺はいつも一緒に居た
高校に上がってみんなバラバラになってからも、毎年年賀状を俺に出してくれるのはその子だけだった
俺は、気恥ずかしくて年賀状の返事すら書いてあげれ無かった
ちょくちょくメールも来た
でも、俺は素っ気ない返事しか出来なかった
車ですれ違った時なんか、わざわざ車から顔を出して俺の名前を呼びながら、笑顔で手を振ってくれた
だけどもうそんな事もない
もう、その子は結婚したらしい
俺は、今も一人でこうして画面に向かっている