おじさんもさ、そう思うよ。
おじさんの代わりなんてさ、いくらでもいるよ。
でもね、それでも生きて欲しい。
理由なんてないんだ。おじさんあんまり頭よくないから、うまく言えないけど。
あえて言うなら、おじさんのエゴなだけなんだけどね。
おじさんにもね、子供がいる。
まだこんな話しても、たぶんわかってくれない。
子供が大きくなっても、何で自殺したらいけないか、おじさんはたぶん子供にうまく説明できない。
ただね、子供が死んだら悲しいってしか言いようがないんだ。
おじさんはね、モテなかった。
そんなおじさんでもさ、彼女が出来た。彼女もモテなかった人だったんだけど、そんな二人はあっという間に結婚しちゃった。
そして、子供が出来た。
お母さんになった彼女はさ、すごくきつそうだった。
つわりで一日何回も吐くわけ。
おじさんもさ、酔っ払って吐く時ってあるけどさ、きついんだよ、吐くのって。そういうのがお母さんは何ヶ月も続いてた。
つわりが良くなったら、今度は、お腹が大きくなる。動くのでさえ、きついんだ。
お腹に米袋を持ってずっとあるいてるようなものだよね。
立ったり、歩いたりするのでさえ、見ているだけでつらそうだった。
おじさんはさ、なーんにもできずに、ただオロオロするだけだった。ホントおじさんはダメなヤツなんだ。
それでも、お母さんにお腹を触らせてもらって、子供がお腹を蹴ってるのを感じたりすると、子供が育ってるんだと思って、嬉しくなった。
そしてお母さんは、ものすごく痛くてきつい思いをして、子供を産んだ。
おじさんはこれまたお母さんの手を握ってオロオロするくらいで何も出来なかったけど、自分に似た、まんま猿みたいな子供を見て、嬉しかった。
子供はおじさんに似て、取り立てて勉強がよく出来るとかスポーツが出来るとかいうことも無く、普通の子供だった。
おじさんは子供がそのまま大きくなったようなものだから、不器用に、子供と毎日ケンカするように生活してた。
こんな何のとりえもないおじさんをね、おとうさん、おとうさんって呼んでくれるんだ。
昔はおじさんの代わりなんて、いくらでもいるって思ってた。
でも今は、子供にとっては、こんなおじさんでも特別な存在なのかもしれないって少し思う。
もう少し、頑張って生きてみようと思う。
それと同じように、子供にも生きていて欲しいと思う。
生きていかなきゃいけない理屈はよくわからないし、説明できないけど、生きていて欲しいと思う。
生きている意味がないって思える時ってあると思う。
でもそれと同じように、生きていることに意味があると思える時もあると思う。
自分が特別に求めることはない いくらでも頭の挿げ替えが利くこの世の中、個人として自分が特別に求められることもない そんな自分に、なんかとりあえず生きとく意味みたいなもの、...
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人と関わりすぎて疲れてるんじゃないかなー。 一人の時間を持ってみたらどうですか。