2008-12-28

http://anond.hatelabo.jp/20081228135251

社会人になって越してきた郊外の今住んでいる住宅街は、

建売を売るがために作ったスーパー以外、何もない。

コンビニは隣の駅までないし、

二、三件あった小売店は、その建売の為にできたたった一軒の小さなスーパーに既に潰されて

引っ越すと同時位に次々に閉店した。

そんな郊外に住む人間は食う物も着る物も、みんな車で隣町まで車で買いに出かけるから

建売の為に作られたスーパーも、

2,3年もしないうちに品薄になり、品の質も悪くなった。

保育園から中学校までそろってるのに、

休みの日は公園子供の声も聞こえない。

本当に、ただ寝るだけの街。

家は狭くても政令指定都市住まいだった自分には愕然とするほどつまらない街だった。

ところが、ある年、自称日曜大工が得意な家のおじさんが、突然変な看板を出した。

夜になると、綺麗に光って、その変な看板クリスマス向けのイルミネーションだとわかった。

正直、昼間に見ても、夜に見ても、

一体何のキャラクターなのかもわからない。

少なくとも、クリスマスとは縁もゆかりもない事は確かなそれが一体なんなんだと

からかい半分で推理するのが、毎年恒例となった。

その内、その近所の家が少し変わったイルミネーションをかざりだした。

なんでも、娘さんが結婚して海外へ。

クリスマスだからと贈ってくれたものの、日本人とは感性がかけ離れた飾りで、いま一つ飾る気になれず

そのままだったのをかざるようになったとか。

派手で可愛くない変なキャラクターは毒々しい色で輝いて

そこだけ妙な空間がまたひとつ増えた。

次の年は、その一本裏の家が

その次の年にはお隣が

駅の前に無愛想に立っていたマンションの窓にも

今では、家全体をイルミネーションする所もある。

畑の真ん中だから真っ暗になってしまう空を見上げると、

ひとつ、ふたつとサインが並んでる。

今でも、この街は寝に変えるだけのつまらない街だ。

スーパーは、とうとう段ボールから品物を出す手間さえ省き、

野菜が10回に1回は半分腐ってたりと、ひどい有様だが、

それでも建売に移り住んできた人のおかげでなんとか営業している。

コンビニもまだできない。

店を閉めたままの小売も戻らない。

でも、クリスマスだけは、何かが違う。

たとえ眠るだけの街だったとしても、

そこに生きている人間が、そのつまらない街で少しでも楽しい事を探してる。

イルミネーションひとつ見ても、

住んでいる人が若いのか、年寄りなのか

子供がいるのか、孫が訪ねてくるのか、

ほんの小さな事で結構分かるものだと面白くなる。

街そのものは、つまらない。

車がなければ衣食住さえ事足りない。

働いていると、あまり交流もできない。

そんな中でもクリスマスというだけで、少しの下らない贅沢が

自分も誰かも楽しくする。

立派なイルミネーションは出せないけど、うちも少しだけ参加する。

窓辺に小さなツリーが光っているだけでも、楽しくなる瞬間を知ったから。

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