"virtual" という言葉は本来「実質的な」という意味合いだったと理解しているけれど,これに「仮想的な」という意味合いで用いていることが多すぎる.ニュースキャスタですら「仮想的な」という意味合いをヴァーチャルという言葉に託して「ヴァーチャル世界」やら「ヴァーチャルマネー」などという言葉を発している.
この意味を持たされた「ヴァーチャル」を聞く度に,こやつらは「仮想的な」という意味合いでの使用を強調することによって,
「『ヴァーチャル世界』とは『実質的には世界』などではなく仮想の世界に過ぎず,何の意味も価値も持たないのです.
『ヴァーチャルマネー』とは『実質的にはお金』などではなく仮想のお金に過ぎず,あぶく銭ですらないのです.
これらが世界やお金と実質的に同等の価値を持つ時代になったのだという現実はすべからく拒絶し,
また,この現実に立脚し時代に即した建設的な議論を展開するという姿勢は放棄いたします」
とでも主張しようとしているのだろうか,とすら邪推する.
まあ,「ヴァーチャル」という言葉は「仮想的な」という意味合いの和製英語なのだと,そう割り切ればよいだけなのだろうけれど.