不安になって怖がるのは簡単で正しいと思い込んで突き進むのは難しいって
家を出るのは決まって真夜中。昼間はどこかに出かけたように静かにしている
けれど当時はずっと不安だったわけだ。何もしないのも、何かするのも、全部間違っているように思えた
それは今も変わらなくて、誰と話していても俺、ハブられてない? ってどっかしらナイーブになってる
けど、何もしないわけにはいかない。散髪いって身なり整えてもう一回働き出したんだ
だが、すぐには続かなかった。やっぱり仕事は出来んし、周りが怖かった。何もかも投げ出したかった
俺は嫌になった結果気分転換に遠出したんだぜ。いや、ふらっと死ねないかなって気分だ
それからすぐに金が尽きた。装備もない。凍死寸前になるよなと思ってガタガタ震えながら宛もなく進んだ
コンビニを見つけるたび、みっともなく廃棄品を受け取れないか願ったりもした。バカだろ。死ねよお前って気分だ
のたれ死ねばいいのに尊厳とかプライドとかかなぐり捨ててあてもなく進んでいるんだぜ。何に突き動かされているか知らんけどさ
それで、俺はようやくわかった。俺の逃げ場はどこにもない。少なくとも死にたくはないんだ
生きにくくても死ぬことはない
死ぬことないなら別に何が起きてもいいじゃん。少なくとも凍傷作ったり間接が動かなくなるまで走ったり歩いたりする事もない
ニートでいたのは放り出されるのが怖くて、手のひらを返されるのが怖くて、怖さのあまりこの世が終わるかと思えたんだ
でも、そんなことはない。分かったら俺は速攻で足引きずりながら交番に走ったさ
今は死ぬよりマシで飯食って水飲めればいいって思ってやれることだけやってる
やっぱり不安だがそれでも百倍はマシだぜ。迷惑かけるレベルも小さいし、切られてもすぐに死にはしない
真綿で首絞められてる苦しさはあるけど、前よりは楽になれたよ。人間、最悪は何度か経験したほうがいいみたいだ
知らないなら知らない方がいいんだぜ。けど、俺はこれくらいしないと分からないバカだったんだよ
だから俺よりお前らの方がいいやつじゃん。よっぽど人間らしいよ