親父が呑みながら教えてくれた話。
親父が若い頃働いてた市場に、目が悪い看板娘のおばちゃんがいたんだって
看板娘といっても30半ばくらいで、風格は肝っ玉母さんみたいな人で、極度の弱視で
用事で市場を回ってたりすると皆笑って声掛けてくれて
子供がたくさん連れ立って手引いてくれるような、人気者だったんだって
で、その市場の男は、どうにもならない程つらい事があると
花を持ってそのおばちゃんの所に行くんだって
そうするとおばちゃんはひとしきり話を聞いてくれた後で
胸をはだけて、抱きしめてくれるんだと
大きいおっぱいに顔うずめさせて、ひたすら泣かせてくれるんだって
泣き終わると、目悪いからしかめっつらしながら笑って、持ってきた花の匂いを嗅いで
「お金貰うとケーサツに捕まっちゃうからさー」
「街角立ってる姉ちゃんもさー、私もあんまり変わらんてー」って言ってたって
親父が泣きながら笑って話してくれた。