やたらと声がでかいカップルがコンビニに入ってきた。
よくみると50代と思わしき夫婦だった。
旦那さんは赤ら顔で、奥さんも飲んでるようだ。
他の客の迷惑そうな目線は正しい。
しかし、僕はビールのつまみを買いに来ていたこともあって、少しその夫婦がうらやましかった。
かれこれ5分だろうか。
僕がビールや惣菜を選んでいるときも「あー」「ちょっと!」とか「ぎゃー」とか聞こえる。
ここまでうるさいと僕も少し警戒したのか、そそくさとカゴに適当なつまみを入れてレジに向かった。
すると、その奥さんがちょうど僕の前で会計をしてた。
奥さんが申し訳なさそうに空のパンの袋を2つ差し出している。
「ごめんなさい。本当にごめんなさいねー。(旦那に向かって)ちょっとアンタね!」
店員さんは「まぁ…(しょうがない)」としぶしぶ空の袋を清算していた。
奥さんと距離をおいている旦那さんは子供みたいにニコニコしている。
「ごめんなさいね。ごめんなさい。もー、あんたは本当に馬鹿なんだから!」
と繰り返す奥さんを、ちょんと指でつつく旦那さん。
会計を終えて袋を抱えて二人でコンビニを出て行くほろ酔いの夫婦を見て僕は少し微笑んでいた。
やっぱりうらやましい。