君が男をとっかえ引返し始めたころ
僕は教室の隅で未来を書き綴っていた
数ヶ月前まで並んで
未知の話をし、そこから有りもしない話を作り上げては
笑い転げていた君と僕の間には
断崖と呼ぶしかない溝が出来てしまっていた
君は僕を見下し
僕は君に眉をひそめた
それから何年もたって君に会った
僕はひとつ夢をあきらめ
しかし着実な道を進み始めようとしていた
君は記憶の中よりもずいぶんとやせて綺麗になって
ずっとずっと大人に見えた
他愛もない話
笑うこともなくただ淡々と昔話をして
時が流れていくのを見ていた
近況の話をしても会話がかみ合わなかったから
君と僕の間にはもはや飛び越えることなど出来ない黒い川が横たわっていて
言葉が、出なかった
君は僕をうらやみ
僕は
何もいえなかった