昨日と同じ畑で、あの子猫が鳴いていた。倒れこんだような姿勢と、雨に打たれた毛並みから、きっと長くはないだろうと思った。取り合えず助手席の床へ移動させ、濡れた毛を解して乾かした。
助手席から離れると、子猫は不安そうに鳴いた。顔を覗かせると、こちらを見ながら鳴く。「にゃー」とこちらが返すと、さらに返事が戻ってきた。
そのまま近くの売店へ行き、牛乳(ほんとは駄目らしい((猫の母乳と成分が違い成長に最適でない、下痢をすし子猫ではダメージが大きくなることがあるそうだetc)))と猫用シーチキンみたいなものを与えた。シーチキンの付いた指を持ってくと、指ごと噛まれたw体が驚くと思い、少量ずつ紙皿に盛った。子猫は、皿を空にするとこちらを向いて鳴いた。
自分と同僚も空腹だったので、テラス席((地元民や工事作業員御用達ので、目くじらを立てるような人はいなかった))へ子猫と共に移動した。抱えられて車から出されると、子猫はもがいて飛び出した。結構元気になった!追ってくる同僚に驚いたのか、走って軽トラの車輪に隠れた。子猫は同僚に気を取られていたので、後ろからそっと捕まえた。
テーブルの上では、同僚に撫でられ大人しくしていたが、食事が来ると食べたそうだったので、さっきの牛乳とシーチキンを入れた紙皿を床に置いた。食べ終えた子猫は、同僚や自分の足の間を行き来したり、ちょこんと座ったりしていた。
その後は、また車の助手席へ乗せて移動した。目やにを取ろうと目元へ指を持っていくと、自ら顔を摺り寄せてきた。さかんに色んな場所へ行こうとし、その探検で見つけた同僚の腹の上も気持ち良いようだ。車のギアボックスの上も暖かいのだろう、そこで眠り始めた。寝返りを打つと変な格好になっていたが(笑)。だいぶ慣れてきたらしい。
外はまだ雨が降ったり止んだりで、風も強い。そろそろ帰らなければならないが、自分も同僚もアパート住まいだ。友達へ送ったメールも良い返事は無かった。今朝の様子を思い出すと、子猫が自分で餌を取って、風雨をしのぐ寝床を探せるとも思えない。実は昨日は側面が1mほどの側溝の壁に付いたパイプの中で鳴いていたため、同僚が上の畑に移動させていた。今朝の大雨で、その側溝はだいぶ水が流れたようで、畑へ移動させて良かったと思う。でも、その同じ畑で、ほぼ動かず今朝の状態だったのは、多分母猫に会えなかったのだろう。
同僚の提案で、少し離れた場所で他に猫がいた場所へ連れて行くことになった。その場所へ到着すると、1匹の成猫がいた。子猫は真っ直ぐそちらへ走っていったが、その成猫は背を曲げ威嚇のポーズをとった。40cm離れて固まった子猫は、それでも成猫をじっと見ていたが、成猫は威嚇を止めなかった。子猫はゆっくり座ると、不安げにこちらを見たり、また成猫へ視線を戻したり。そのうち、敵意が無いことを示すように寝そべったりした。
成猫は、いったん座ったものの、尻尾を左右に振って子猫を見つめていた。興味があるのか興奮しているのか。しかし、しばらくして歩いて離れだした。慌てて子猫が近づいたが、再度威嚇され、近くの車のタイヤに隠れてしまった。車は人が乗ってって、危ないと思い近づくと、子猫はこちらへ走りよってきた。近くに座った同僚の方にも歩いていった。多分、自分たちを認識しているんだろう。
いつのまにかさっきの成猫が戻ってきていた。少し離れた場所からこちらを窺っていたが、雨が強くなってきてから道を駆けて行った。その後、雨を防いでくれそうな低いテーブルの下に、残りの餌をありったけ皿に盛ってから帰ってきた…。
子猫置いてきたの?
エサあげないほうがよかったね。子猫にとっても、増田にとっても。 飢えて死ぬのも自然の流れだから、人間のエゴで気まぐれに優しくするのは残酷だ。
そもそも人間の保護欲求に依存して繁殖している動物に対して 「自然のままに」とはこれいかに。 彼らにとって「自然のままに」とは餌をもらうことだ。