僕はそう親父に言ったら、嫌な顔をされたことがある。
そもそも、嫌いなおじさんがいた。
奥さんを早くになくして、高卒ながらも上の娘は中位駅弁、下の娘はどっかのEラン私立に入れた。
僕は彼のするお話が大嫌いだった。
「○くん(彼はこう僕を呼ぶ)は大学に行くべきだよ、おじさんはそれで相当苦労した」
「だから僕は上の娘(本当は名前)も大学にやったし、下の娘(同左)も大学にやった」
「上の娘は偉いよなあ、中位駅弁(本当は大学名)に入ったんだから」
うるっせえよばーか。
そんなんわかってるからこちとら進学校入って夏休み返上で勉強してたんだよ。
それを偉そうに中位駅弁くらいで誇ったりするなよ。自分の子供の人生にすがってるんだぜ、それは。
そんな大人が大嫌いなんだ、僕は、昔も、今も。
だから、きっと田舎が嫌いなんだ。
あそこに住んでいると、自分以外の何かに期待をかけるしかないから。
そして、それがリスクの小さくて、安全な、夢のみかただからだ。