目覚めると、さびしさだけがあった。
今日は変なメールがやたら来るなァ、と感じていたら、とあるアダルトサイトに携帯電話のメールアドレスを晒されていたことが発覚。思い当たる節は、ひとつしかなかった。私と確執があったのはあの男ただひとりで、しかもそのアダルトサイトを見せつけたのもあの男だからだ。あの男が晒したであろうことは95%くらい確実なのだろう。それに対して傷つきはしなかったが、ひどく脱力した。なぜ今になって?という疑問もわきあがってきた。ケンカ別れしたのはもう一月も前の話だというのに。ねえ、そこまで私のことを憎んでいるのですか?もてあそびたいのですか?
寂寥感が胸をえぐる。それでも私は愛していたんだ。
でも、あっちが私のことをどう考えていたのか?――それを考えるととても暗澹とした気持になる。ただの、便利で、自分の言う通りになる、性奴隷、とでもいうところだろうか。
あの男のことを考えると私のさみしさが浮き彫りになる。ひとりぼっちでさみしくで、だからだれでもいいからそばにいてほしくて結局はろくでもない男にひっかかった私のさびしさ。孤独であることを受け入れられない、未熟なこどもである自分が深夜早朝の今、たたずんでいる。うまく女になることもできず、きちんと大人になることもできないままでいるんだ。
ひどく、虚しい。
「女」になりたかった。ショッピングと恋話が大好きで、友達や彼氏と笑いあっている、奇麗に着飾った「女」に。ネットでは「スイーツ(笑)」などと馬鹿にされるかもしれないが、私は彼女らが心底うらやましい。
あるいは「大人」になりたかった。ひとりで生きていくことを受け入れた、きちんとした「大人」に。
私はどっちつかずだ。いや――、年齢的に考えて、私が「女」になることは、もう出来ない。やったとしても痛いと見られるのがオチなのだから、私に残された道はたったひとつ、「大人」になることだ。だけど、「大人」になる方法がわからない。
周りを見渡せばみんな「大人」だ。少なくとも、そう装えるだけのスキルを持っているように思える。けれど、私は――それすらできない。ずっと、こどもだ。それもかなり未熟なこども。途方に暮れるヘンゼルとグレーテル。
どこでどう道を間違えたのか。そもそも道はないのか。けものみちを進むしかないのか。はじまりの合図すら、聞こえない。私は月夜に光る小石をみつけることができなかった。
――さびしい。毎日毎日、耐えきれない。
誰か。
ねえ。
誰か誰か誰か!!!