うちの妹ゆとり。超ゆとり。よく高校入試が無事に終わったもんだ。
彼女がちょっとお馬鹿さんなことに、最初に気づいたのは弟で、彼女が中学に入学する直前だった。かけ算、わり算が2桁以上になるとできない(筆算がわからなかったようだ)。小数点とか分数とかもわからない。一緒に映画見てても内容を理解してない。アメリカの首都はヨーロッパ!
それまで私や両親は「妹は末っ子でまだ小さいからわからなくても仕方ない」と思ってた。びっくりだね、私の躾とかけっこう厳しかったんだけど、私か弟が親を失望させたのかな。
どうも彼女はちょっと難しそうな話だと思うと理解しようとしない。特に算数・数学は「難しそう」な感じで初めから諦めている。
中学に入学し、テストの点が平均点の半分しかないことで、ようやく両親が焦った。とりあえず塾に通わせる前に目の届く場所で私が家庭教師をすることになった。とにかく「難しそう」なことはこんなに簡単なんだよーと思わせなきゃいけないので苦労した。1、2年はそれほど切羽詰っていなかったので小学校の復習みたいな感じだった。
不思議なもので、先生には好かれているみたいで内申点は良かった。相対評価のだめなところです。3年の1学期、先生からはテストの点や学力から見て3~4ランク上の高校を勧められていて、親はなぜか安心しきっていた。ちなみに、五ツ木の模試で偏差値35、勧められた高校は偏差値表で45。
本人も行く気になっているので、三年生からは私も頑張って勉強を教えた。中3で、三単元?二次関数?二院制?の状態の時はもうだめかと思った。当時付き合っていた彼氏が小学校から私立に通っていたので、助けを求めたところ「そんな人間がこの世にいるなんて」と逆にカルチャーショックを受けていた。
そんなお馬鹿さんでも先生から好かれてたのは、けっこう真面目だったからだと思う。教えてやればちゃんと問題集をやるし、反復練習もちゃんとこなしてくれる。わからなかったら素直に聞いてくるし、与えられた課題はやってくれる。彼女の兄で私の弟は、兄弟の中で一番賢いと期待されていたけど、とにかくサボることに熱心だったので、勉強を教えるどころじゃなくて大変だった。それを思えば、面倒な問題集もちゃんと解いてくれるというのは救いようがあった。
なんやかやで、なんとか受験に間に合って第一志望の学校に合格した。今は充実した青春!みたいなのを送っているみたいだ。
そして今日。「終戦記念日は16日なのになんで今日特集やってるのー?」と言い出した。もうだめだと思った。
俺が前に教えてた小学生も「アメリカの首都は?」「…カナダ?」だった。 せめてアメリカの都市を答えてくれ。 そこそこ裕福な家庭の子で海外にも何度も行ってるはずなのになぜだ。