・小学校の教師が国語の時間に「文章しりとりをやろう」と言い出してきた話
なにやら文章力を鍛えるためだとか。
ちょっと考えればわかるが、文章なんて大体終止形で終わるんだから、ある程度尻の文字は限定される。
更に小学生はいい子ちゃんを強要されるから必然的に「です、ます」調が多くなる。
なので、いかに「す」を頭文字にした名詞で適当な文章を作るかといった珍奇なゲームになっていった。
身体検査だか予防接種だとかで授業ができないため、クラスでしりとりをすることに。
マァなんてことはない普通のしりとりで、ぼへーとしてるうちに時間は過ぎていった。
そして、ある地味めな、それでいてオタクっぽくはない所謂普通の男子Aの順番になった。
「ま……、まんこ!」
高らかに彼はそう言った。
一瞬の静寂、そして爆笑。
おそらくうっかり言ってしまったのであろう。
彼は顔を赤くして必死に弁明を試みるも、爆笑の渦にかき消されてしまう。
そんな中、ある女子が笑いながら、よく通る声でツッコミを入れた。
彼女は、墓穴を、掘った。
Aは「まんこじゃない! マント! マント!」と苦しい言い訳。
かたやの女子は言い訳するすべもなく、ただ黙っているしかなかった。
いつか同窓会であったら彼らに偉大なるインカの王の名前を教えてあげようと思う。
彼らの心の傷が少しでも癒えるのであれば。