2008-07-16

幼い日の記憶

無限に広がる広大な世界

吸い込まれそうな青い空

鼓膜を貫くような蝉の声

全身を焼いたような暑さ

うっそうと生い茂る雑草

アマゾンのようなドブ川

真紅に光る怪獣ザリガニ

ある暑い夏の日僕らは保育園先生に連れられて遠足に出かけた。

みんな楽しそうにきゃっきゃキャッキャ言ってる。

もちろん僕も楽しかった・・・その時までは。

当時、とんねるず番組仮面ノリダー流行っていた。

後の電車男となるチビノリダーも出てた。

もちろんみんなノリダーのマネをして戦った。

お調子者の僕も例に漏れずター!トヤー!っと戦った。

そして必殺技?かなんかの鼻に豆を詰めて飛ばすのをやってた。

遠足の途中で数珠球と呼んでた丸い種を付けた草を見つけたのだ。

鼻から飛ばす必殺技に歓喜の声が上がる。僕はヒーローになっていた。

好きだったまいちゃんもすごく笑っていた。

今考えると鼻から種を飛ばす男にどんな魅力があるのかと思うが

当時の僕は好きな子を笑わせるだけで満足だった。

調子に乗った僕はダブルで種を飛ばすなど新技を開発していた。

そして、しばらくしてその時がきた。

鼻に詰めた種が奥に入り込んで取れなくなったのだ。

少し焦りつつも鼻くそをほじるように手を突っ込む。

しかし種は突っ込まれる手に押し込まれてさらに取れなくなった。

僕は死を覚悟していた。

鼻に詰まった種はそこで顔面に根を生やすと思い込んでいたから。

ついに指も届かないくらい奥に入ってしまい焦りはピークにたっした。

既に半泣き状態だったと思うが好きな子の手前なんとか我慢して

鼻から飛ばす必殺技を封印したノリダーを演じていた。

先生に言おうか迷ったが怒られるが怖くて辞めた。

家に帰ったら速攻でお母さんに話して病院に行こうと心に決めた。

病院に行こうと決めると少し安心できたが鼻のことが気が気でないまま

遠足も終わりに近づいていた・・・。

突然、何か鼻の奥がむずむずするのを感じた。

次の瞬間・・・ハックション!!ビターーーン!!

鼻水まみれの種が僕の大好きなまいちゃんの顔面めがけて飛んでいった。

何が起きたか分からずきょとんとした顔のまいちゃん

鼻水まみれの新しい必殺技が決まって歓喜のまわりの子。

事情を察知して泣き出すまいちゃん

僕の初恋は終わった・・・鼻水まみれの種が取れた安堵と供に。

たぶんこれが僕が覚えている最古の記憶

今でもまいちゃんのきょとんとした顔と供に

種が鼻に詰まってとても焦っていた記憶が鮮明に蘇る。

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