いわゆるオタクと犯罪を結びつける報道や事実はまだないような気がするが、
むしろ特定の嗜好というよりは、もっと薄く広まったもの、一言では言い表せないが、
上層的な教養でもなく、庶民的な勧善懲悪でもない、その間で揺れ動く文化みたいなのを、
おれも空気を吸うようにして呼吸して育ってきたわけだが、少し動揺している。
肥大した自意識といえばそれなんだろう。しかも倫理や規範を結びついていない、根拠レスな自意識。
しょうがない面もある。我々が育った時代と我々が世に出る時代のギャップだ。
これを埋めねばならないし、埋められければならないだろう。しかし、過渡期にはそれ相応の軋みが起こってしまうのだろうか。簡単にいえば、それは個々人が自ら変わることではなくて、世代交代を待つだけなのだろう。
さて、中間層的なものがもし消える、ないしは縮小していくなら、その隙間は埋められなければならない。
社会構造なりが変わるのに上部構造だけが変わらないなんてありえない。
もっとつつましい娯楽、おそらく我々が退屈と斥けてしまいたくなるようなものを、
ネタでもべたでもいいから楽しめるようにならないといけないのではないだろうか。