2008-03-11

不幸かもしれない宝

私が所属するの大学研究室は、今年で教授が退官するので引き払われることになった。そして研究室を明け渡すために大掃除をしてみると、漫画の山がたくさん出てきた。そこでそれを、某チェーン新古書店に引き取ってもらい、売れたお金打ち上げ代にしようという話になった。

そして早速出張買い取りを呼び、漫画の山を査定してもらうことになった。ろくに整理されてない漫画の山を手早く捌いていく買い取りの店員。私はその手際の良さを見ながら、この本が店に並んで売れたとしても、作者には何の貢献もしないんだということに、ささやかな罪悪感を抱いていた。

査定最中、買い取りの店員と少しばかり話をしたが、彼はこう言っていた。「漫画は宝ですから」

そして査定が終わり、明細を見せてもらう。

全部で400冊近く漫画があったが、売値は合計で7000円程度だった。殆どの本は10円の値段しかつかなかったのだ。

10円の宝、そしてこれが新古書店に並び売れたとしてもその宝を創ってくれた作家には何の貢献もなく、私も店員もそれを承知している。それでも、私も買い取りの店員も、ひいては新古書店も誰も損をしない。このもどかしい矛盾と罪悪感はどこへやってしまえばいいのだろう?

漫画は、本は、売ってしまった方がよいのだろうか?捨ててしまった方がよいのだろうか?

私には分からない。

  • またそれを誰かが手に取って読むかもしれないんだから捨てるよりは売った方がマシかと。 それが売れることで直接作者に収入はないかもしれないが、読んで気に入った読者がその作者...

  • 図書館に寄贈すればいいのさ

  • 昔の自分で書いた増田を読み返していたら、この記事を見つけた。 この記事には驚きの後日談が生まれたので是非共有したいと思い、こうしてキーボードを叩いている。 まず、大学を...

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