2008-03-07

http://anond.hatelabo.jp/20080306224730

時は遡って、去年の二月中頃。三宮ハンズ前。

出会い系サイトで知り合ってメールしていた子との待ち合わせ中。

写メで見るぶんには結構可愛かったけど、画像がちっさくてよくわからんかったから、ハズレやったら途中でトイレとか言ってばっくれようかなぁとか、もし約束ぶっちされたら買い物にでも行こうかなぁとか考えていたら、案の定約束の時間を三十分過ぎてもやって来ないメル友子さん。

あぁ、こりゃぶっちだ、ぶっちですよチクショウと半泣きになっていたら、パンダみたいなアイメイク女の子に話しかけられた。

寒いなぁ、今日。よう待つなぁ、あんた」

 そして、その声に振り向くと、いきなり、全開の、満面の、爽快なくらい無鉄砲で、痛快なほど無警戒な、俺みたいな日陰者では少し引いてしまうくらいの、そりゃぁもう見事に天真爛漫を絵に描いたような笑顔が、そこにあったのでした。

 そして、今になって思えば、その瞬間からもう、ハンズの前で声をかけられたはじめのこの時から、俺はとっくに参っていて。信じられないくらい惚れっぽくて、びっくりするくらい冷めやすい俺だけど、この時ばかりは、本気でもう駄目だと思った。きっと多分、それは勘違いで、それはもっとずっと後になってから感じたことなんだろうけど、ともあれ、この時からあの子は、(はてなにより削除しました)は俺の全て、だった。

寒いなぁ、ほんまに。こんなとこで三十分も待っとったら耳たぶしもやけになりそうやで。はは」

 唐突に向けられた謎の全開笑顔と、ものすごいマスカラがダマになりまくってるパンダアイメイクの大きな目に若干引きつつも、それでも地は結構可愛いなこの子、色白だし下手なメイクなんかせんほうがいけてんのにもったいないなぁ、っつーかいくつだこの子、十八、九くらいかな、若いな、逆ナンか、逆ナンなのか!?といったことを東京大学物語漫画)の村上くん(前述の漫画主人公妄想壁あり)ばりに0.2秒くらいで思考して、屈託のないその子の笑顔とは真逆自虐的で曖昧な、うまくは笑えてないんだろうなぁ、まぁでもいっかみたいな、偽ることにさえ投げやりな、とても笑みとはいえない引きつった微妙な表情を返しつつ、そう言った。

「ほんま何してんねやろな、メル友さん。はよきてあげたらええのに」

「せやな、なんでこぉへんのかな俺のメル友ちゃん。はよきて!このままでは遭難してしまうわ・・・って俺がメル友待ってるとか何でしってんねん!」

 とりあえずノリ突っ込みしてみるも、何でこの子俺がメル友子ちゃん待ってるって知ってんだろー、エスパーか!?伊藤なのか!?とかまたまた(0.2秒)してたら、目の前の女の子が満面の笑顔のままで左腕の袖をまくって、むき出しになった腕をこちらに向けてきた。

「なに、それ?はやってんの?」と、真似して同じように袖をまくろうとするもダウンジャケット着てたんでうまく出来ずに断念する。

「いやいや、どう考えても違うやろ。いいからはよみて!ここ!」

 さすがのパンダさんも俺の天然っぷりには畏れをなしたのか、さきほどの笑顔も曇ってちょいイーっとなっとったので、言われたとおり彼女のむき出しの左腕を見てみると、黒いペンでなんか番号みたいなんが書いてあった。

「おー、んー、こりゃぁ、あれだ。俺の携帯の番号、ですな」

 ここで驚くのは非常に癪だったので努めて冷静を装ってみる。基本努めることは大嫌いな俺だけど、こんな時だけは頑張っちゃうんです。

「あんなぁ、出会い系サクラバイトをしとってん」

 再び満面の笑みの、パンダ子こと、サイトサクラさん。

「ほー」

 そして仕返しにイーッって顔をしてみる俺。

「でもな、そのバイトはもうやめたんよ。なんかいちいちパソコンがずらーっとならんでる事務所みたいなところにいかなあかんくて、パソコンで文章とか作るのもめんどうやし、人騙すのとかはあんまり性にあってなかったかな?み・た・い・な」

 今度は途端に小悪魔フェイス。みたいな?あれだな、八重歯が可愛いな、この子。

「へー、そうなんだー」

 てきとうに返事をしつつも、だいたい筋書き(メル友パンダサクラ)も読めてきたし、そろそろ場所かえよーかなーとか、考えてみる。

なにしろ、最初にあの子が言ったとおり外は寒いのだ。

「とりあえず、俺の耳たぶシモヤケ未遂の容疑でファミレスに連行やな。行こーか、メル友さん」って言って、手を繋いでファミレスへ向かい、事情聴取を行うのでした。

記事への反応 -
  • 続きマダー? デケデケ ドコドコ  オラオラッ!!☆ ドムドム    ヽ ダダダダ  ♪☆ドシャーン!  シャンシャン =ニ= ∧_∧  ☆ / 〃(・∀・#)  /〆|  \と\と|∈Z...

  • ふるえる指、ドリンクバーのアイスティー、爪に光るラインストーン。 「爪、それすごいな、自分でやってんの?」  こういうのに感心しだしたらオッサンなんやろなぁと思いつつも、...

    • 続くのかっ!?☆ ワーイ    ヽ ヒャッホイ   ♪☆ワクワク   ウキウキ =ニ= ∧_∧  ☆ / 〃(・∀・゜0) テカテカ〆|  \と\と|∈Z∋ | /⌒丶丶コノ | |ΣΣ |...

    •  北野、三宮、元町、南京町、旧居留置、ハーバーランド。  神戸の街は山側も海側も全部ひっくるめてもヒジョウに狭い。  よく横浜と似た感じなんて話を聞くけど、全然規模が違う...

      •  =ニ= ∧_∧ /  ( ・∀・)  ……。〆|  \と\と| ∈Z∋ | /⌒丶丶コノ | | |  | |∪〓 |/|\ヘ_ノノ||_/|\ =ニ= ∧_∧ /テカ(0・∀・) 結構長編のヨカン?〆| ...

      •  そんなある日、仕事が終わって部屋に帰ってボーッとしとったら携帯が『ゆーがっため??るやよー・・・めーるやよぉー・・めーるやよぉー』(エコー)と恭子の声でメールの着信を伝...

        •  =ニ= ∧_∧ /  (`・∀・)  ゴクリ〆|  \と\と|∈Z∋ | /⌒丶丶コノ | | |  | |∪〓 |/|\ヘ_ノノ||_/|\ =ニ= ∧_∧ /  ( ・∀・) ハッ〆|  \と\と|∈Z...

        • 用事から帰ってきたら続きが来てた! 文字でとはいえ故郷のことばと情景を見かけるとじんわりくるなぁ…

        • 近くのラーメン屋で昼飯を済ませて、漫画喫茶で時間をつぶし、三時半前に店に戻ると、更に十分ほど待合室で待たされた。  待合室には俺のほかに二人、四十代くらいのスーツ着たオ...

          • < スコココバシッスコバドドトスコココバシッスコバドドトスコココバシッスコバドドトスコココバシッスコバドドトスコココ スコココバシッスコバドドドンスコバンスコスココ...

          • 「実は俺も恭子に黙ってたことがあるんですが」  風俗で知り合いに見つかっちゃったプレイ(プレイやったっけ?)が終わってから二人で食事に来た先、何でか恭子の希望でエスカル...

            • (AA略 最後まで書いてくれてありがとうございましたー! 増田始めて一週間ですが、始めて良かった、と思えました。 見る楽しみが減ってしまうので頻度は減りそうですが、とにかく何か...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん