セロトニンとうつ状態のつながりに熱狂するあまり、それを社会的地位の説明にまで拡大する科学者もいる。オナガザルの研究で、社会的階層の底辺にいるサルはセロトニンの濃度が低く,頂点にいるサルは高いということがあきらかにされている。地位が上がると、セロトニンの濃度も高くなる。同じように、人間の社会でも、地位の低い人(貧困者や女性)はセロトニンの濃度が低くなる傾向にあり、実際、うつ病は比較的このグループに多い。うつ病は、社会のより優位なグループのメンバーに対して、地位を表明する手段として進化したという説もある。内向的でひかえめな行動は、将来ライバルとなるおそれがないことを示し、地位の高い者を安心させるというわけだ。(pp.188-190)
続き。 まず、この関係をどのように考えるべきか。社会的地位が低いから低セロトニンになるのか、低セロトニンだから社会的地位が低くなるのか。 ただ、うつ病(だけじゃなく精神的...