◆脳の特徴と病識
心の病気と病識の関連を理解するためひは、まず脳の働きを理解する必要があります。脳の働きというのは、周りの状況を読み取り、適切に行動することにあります。周りの状況の中には、ある程度自分の体も含まれます。ですから、おなかがすいたと感じると、何か食べ物を探す、という行動を取ることができるわけです。ところが、脳自身が調子を崩したときは、それがわからないことがあります。たとえば、脳梗塞で脳が障害を受けるために目が見えなくなることがありますが、障害のされ方によっては、目が見えなくなっているのにそのことがわからないということがあります。患者さんは、「自分は目が見える。ただ部屋が暗いだけだ」と言うのです。これを病態失認といいます。脳の病気ではときにこういうことがあります。
◆うつ病と病識
同じようなことが精神疾患でもおこります。うつ病の患者さんでは、「自分には才能がない」「仕事に将来性がない(自営業の場合など)」など訴えます。ところが、実際には、他人から見ると非常に才能の豊かな人であったり、仕事も将来有望であったりします。つまり、自分の才能や仕事の将来性に問題があるのではなく、そのような見方をしてしまう自分の判断に問題があるのです。うつ病の病気のために脳の調子が崩れ、ものの見方が変わってしまったのです。これを認知障害とか、認知のゆがみと言います。実際、うつ病の治療をして病気がよくなると、認知のゆがみが治り、「なんであんなふうに考えたのだろう」と自分でも考え方がおかしかったことに気づきます。
http://www.pref.fukushima.jp/seisinsenta/specify/kawara/illness_awareness.html
◆中二病と病識 同じようなことが精神疾患でもおこります。中二病の患者さんでは、「自分には才能がある」「仕事に将来性がある(自営業の場合など)」など訴えます。ところが、...