今まで見たホラー映画の中で一番怖かったのは中学生の頃、深夜に見たアレだ。
もうタイトルすら思い出せないけれど、気の弱そうな美形の男を
年増の女たちが狙ってわれ先にとモーションをかけていくという内容。
色目を使って身体を摺り寄せてくるババアはどんなモンスターよりも破壊的だった。
まだ恋愛を知らない中学生の俺は、漠然と「モテたいなぁ」って思っていたんだけど、
自分の好みじゃない女にモテるのはこれほど怖いのかと戦慄し、ずっきりと脳に傷痕を残した。
俺は最近、名前も思い出せないこの映画のフラッシュバックに苦しんでいる。
奴は狡猾で巧妙で、決して「好き」とはストレートに言ってこない。それゆえ「嫌い」と言い放つこともできない。
毎日のように送られてくる奴からの恐怖新聞。手を変え品を変え、俺を魔界へと引きずり出そうと画策している。
奴の中ではクリスマスは俺と過ごすことになっているらしい。キリストなんて生まれてこなければ良かった。
俺の落ち度を正直に吐露すると、はっきりと「NO」といえないことだ。
思えば初めて会ったその時に無手勝流の撫で斬りで一刀両断してやればよかった。
だって「NO」って言ったらあいつショック受けるじゃん。下手したら泣くじゃん。気持ち悪ぃ。
>キリストなんて生まれてこなければ良かった。 こういうインチキトレンデー小説みたいな言い回しって流行ってるの今?
オレは美しいと思うけどね。 むしろそれをタイトルにして一篇書いてほしい。
使い古された陳腐な言い回しじゃん。
>だって「NO」って言ったらあいつショック受けるじゃん。下手したら泣くじゃん。気持ち悪ぃ。 あほか。 はっきりNOと言えないなら一生付きまとわれてな。いやならちゃんとせいや...