彼と私は一応元恋人同士だった。一応というのは、その期間が2週間だったからだ。私が告白する形で付き合いだした2週間後に、そのことを知らない共通の友人Aちゃんが彼に告白をしたのだ。Aちゃんは可愛かった。性格も可愛い子だった。彼は私には何も言わなかったが、悩んでいることは明白だったので、「別にそんな好きじゃなかったし、Aちゃんにしなよ」と言い放ち円満にお別れした。そのころの私は、ブサイクのくせにプライドだけは高く、捨てられる前に捨てたかったのだ。
それ以降、2人にはかかわらないでおこうと決心したにもかかわらず、何故か私は彼とAちゃん双方の恋愛相談係になってしまっていた。なにしろ他に共通の友人がいなかった。「Aがすげーわがままでさー」だの「彼が冷たい」だのを聞かされ、複雑な気持ちをかかえたまま必死にフォローするハメになった。正直に言うと彼のことはまだ好きだったのだけれど、2人が上手くいってくれていれば多少救われる気がしていたのだ。
半年が過ぎ、願いむなしく彼らは別れてしまった。友達からは「良かったじゃん、後釜狙いなよ」と言われたけども、とてもそんな気にはなれなかった。ひょっとしたら自分でも意識しない内に、相談係の立場を利用して彼らが別れるように仕向けていたのかもしれない。そういう考えが頭から離れず、自分が別れた時以上に落ち込んだ。Aちゃんは最後まで、私が彼と付き合っていたことを知らなかった。
それから数ヵ月。彼とは適当に距離をとりつつ過ごした。やっとわだかまりなくAちゃんとも仲良く出来るようになったころ、彼から久しぶりにメールが入った。彼と私は偶然同郷で、その日は成人式の前日だったので「もしかしたら会場で会えるかもね」ということだった。特に何も感じることもなく、「そうかもね」と返した。
成人式当日、地元の友達と一緒に会場につくと、彼から「会おう」と電話がかかってきた。まぁ同じ場所にいるのだし、と思って彼をみつけて手をふると、そこには彼と彼の男子校時代の仲間がたくさんいた。自分も女子校出身なのでピンときた。彼は「元カノがいる俺」を、仲間に見せたかったのだ。中高を通して男子校・女子校だと、異性の知り合いがいるということだけで自慢になってしまう。さらに彼は、「やっぱりお前がいい」と言い出した。その時に、はっきりと悟った。色々言い訳はしたけれど、結局私は彼を逆恨みしていたのだ。
「あ、ごめん。私いま彼氏いるし絶対嫌。」
これ以上むなしい嘘はないと思った。もちろん彼氏なんていなかった。彼を仲間の面前でバッサリやって溜飲を下げて、すっきりする自分にまた嫌気が差した。
あれから数年、あと一ヶ月ほどでまた成人式の季節になる。ニュースでその話題を見かけるたびに、自分の最低な嘘を思い出していたたまれなくなる。きっと毎年のように思い出して、毎年のように落ち込むのだろう。そんなわけで今、増田で懺悔します。2人とも、あの時は本当にごめんなさい。Aちゃんは、新年早々に新しい彼と結婚するそうです。