■僕をやさしく包み込む白い闇
目の前にかかった霧は視界を塞いでくれる。
僕を緊張させる世界から僕を守ってくれる。
けたたましいクラクションや町の雑踏から僕を守ってくれる。
もう何も恐くない。
僕はあらゆる抑圧から解放され、今、心は自由にあんパンを食べているような至福の一時。
ずっとこんな状態、こんな気持ちでいられたらいいのに。
どてっ。
何かにつまずいたようだ。
体中が痛いぞ。
ひざも擦りむいたようだ。
きゅ、きゅ、きゅ。
くもった眼鏡じゃ前が見えないからな。
あぶない、あぶない。
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